FIBA女子バスケットボール ワールドカップ2018


【第14回】若き日本代表が得た次につながる屈辱。大会はベスト8が出揃う!

決勝トーナメント1回戦で中国に敗れ、日本にとっての『FIBA女子バスケットボール・ワールドカップ2018』が終了した。試合直後のインタビュー、現地レポーターの元日本代表・大神雄子氏がマイクを向けると、#8高田真希はこう答えた。

「目標を『メダル獲得』にしていたので、こういう終わり方は自分自身すごく悔しいです。でも、日本からも現地にたくさん応援に来ていただいたり、(時差の関係で)遅い時間にもかかわらず、テレビで見てくださったりした皆さんの力があって、ここまで来られたと思います。やっぱりもっともっと成長して勝ちたいという思いが強くなりました」

涙は流すまいと気丈に振る舞いながらも、その声は震えていた。そんな高田の姿に、4年前や8年前の世界選手権(現ワールドカップ)で、同じチームメイトとして戦ってきた大神氏も思わず涙ぐむ。インタビュー後、2人で握手を交わした際、高田の表情がフッと緩んだ。親しい先輩を前にして、今まで背負ってきた肩の荷を、初めて下ろした瞬間だったのかもしれない。

今大会、高田にかかる重圧は相当に大きかった。チーム最年長でキャプテンを務め、なおかつチーム唯一のパワーフォワードとしてほぼ毎試合で40分近く出場。4試合目ともなれば疲労も見えたが、それでも本人は「(疲労のことは)言いたくないです。もっとしっかりしなければいけなかった」と、言い訳しない。負担や疲労も覚悟の上で、リーダーの自覚を持って臨んだ大会だったからこそ、目標に届かず素直に悔しさがこみ上げたのだ。

そんなキャプテンが、大会を振り返って強調したのは、「若い選手も多い中で、この悔しい結果も一つの経験」ということだ。というのも高田自身、2010年、14年の世界選手権で、他国の強豪相手に悔しさを味わってきた選手。特に、初めて3番ポジションに挑戦した2014年大会は大きな転機となり、「そこからの4年間は、自分自身でプレーの幅を広げようと全力で取り組んできて、すごく成長を実感できた4年間でした」と振り返る。

今大会もきっとまた、後から振り返れば選手一人一人にとって大きなターニングポイントとなるはずだ。特に今大会の日本代表は、国際大会の経験がない若い選手が多かった。その分、世界を体感して得た貴重な手応えや悔しさが、今後の成長を大きく支えるものとなるだろう。2年後には東京オリンピックを控え、歩みを止めている時間はない。悔しさを糧に、さらなるステップアップを期待したい。

なお、本日の結果によりベスト8が決定し、28日の準々決勝は、アメリカvs.ナイジェリア、オーストラリアvs.中国、ベルギーvs.フランス、カナダvs.スペインというカードになった。

アフリカ勢の歴史に残る大躍進を見せるナイジェリアが、絶対的女王・アメリカ相手にどこまでやれるかは要注目。また、オーストラリアvs.中国は、203cmの#8リズ・キャンベージに、#14リ・ユエル(200cm)や#15ハン・シュ(205cm)と、2m級の選手たちが見応えあるマッチアップを繰り広げそうだ。ベルギーvs.フランスは、グループリーグでヨーロッパ1位のスペインを破ったベルギーが、ヨーロッパ2位のフランスからも金星を挙げて実力を証明できるか。カナダvs.スペインは、グループリーグでフランスに逆転勝ちを収めるなど絶好調のカナダ相手に、まだ調子の上がらない地元・スペインも大いに苦戦しそうだ。日本は残念ながら姿を消したが、30日(日本時間1日)の決勝戦に向け、世界の強豪国による見逃せない戦いが続いていく。

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