原作は新田次郎「八甲田山死の彷徨」。明治35年、“白い地獄”と怖れられた冬の八甲田山で行軍訓練を行った陸軍青森第５連隊と弘前第31連隊、その悲劇を描く。 実際に冬の八甲田山で撮影を敢行し、そのロケの過酷さは後世映画史に語り継がれるものとなった。撮影は現在は監督としても作品を手掛けている木村大作。 北大路欣也のセリフ、「天は我々を見放した！」は映画のヒットともに当時流行語となった。 【ストーリー】 「冬の八甲田山を歩いてみたいと思わないか」友田旅団長から直接声をかけられた二人の大尉、青森第５連隊の神田と、弘前第31連隊の徳島は全身を硬直させて息をつめた。日露開戦を目前にした明治34年末、第４旅団司令部での会議の席上である。寒地装備、寒地訓練の不足している陸軍は、露軍と戦うために、寒さとは何か、雪とは何か、その真実の姿を知る必要があった。冬の八甲田山は生きて帰れぬ白い地獄と言われている。二人の大尉は、責任の重さに愕然とした。 出発を前にした年末、神田大尉は徳島大尉を訪ねた。二人は語り合い、再開を約して別れた。「この次お逢いするのは雪の八甲田で──」。