コラム
第3回
町田、本橋、渡邉とそれぞれが“色”を持つ頼もしいガード陣

 9月24日より開幕する女子アジアカップ。4連覇が懸かっている日本は193cmの渡嘉敷来夢(JX-ENEOSサンフラワーズ)を擁するものの、ライバルと目される中国やオーストラリアと比較すると、どうしても高さで劣ってしまう。

 だが、日本が持ち味としているのは、“スピード”。激しいディフェンスから速い攻めなど、トランジションの速さで高さのハンデを克服している。

 その攻撃の命綱となるのが、ポイントガードの存在だ。今回、町田瑠唯(富士通レッドウェーブ)、本橋菜子(東京羽田ヴィッキーズ)、渡邉亜弥(三菱電機コアラーズ)の3人がその任を務めることとなった。

 町田は、2015年の女子アジアカップから日本代表に定着。これまで吉田亜沙美(JX-ENEOS)のバックアップとして経験を積んできた。2年前のアジアカップでは、吉田がケガで大会途中に戦線離脱となったところを藤岡麻菜美(JX-ENEOS)とともに奮闘。特に決勝では安定した働きでチームを優勝へと導いた。

 昨年の女子ワールドカップでは、スターターこそ本橋に譲る形となったものの、今大会では「町田がスタートだと思います」(トム・ホーバスヘッドコーチ)と、指揮官が示唆するように、先発出場でチームをけん引することとなる。

 しかし、町田は「スタートだからといってものすごく気合が入るわけではなくて、やることは変わらないです」とキッパリ。「自分の求められていることをしっかりコートで表現できるように。ただ、スタートということは、出だしが大事だから、そこの勢いをしっかりと付けられるようにやっていけたらいいかなと思います」と、あくまでも自然体。どのタイミングで試合に出ようと、コートでの役割は変わらないと考えているのだ。

 その町田とともに昨年、女子ワールドカップに出場したのが本橋。実は昨年が日本代表初選出で、さらにスタートに抜擢されたシンデレラガールといえる。

 本橋も町田同様にスピードが持ち味で、緩急を付けたドライブから自らも得点を挙げる得点力のあるガード。女子ワールドカップでは、4試合を戦い、平均得点が11.3、アシストも5.8という数字をマークした。2年連続で日本代表メンバーに名を連ねた今大会、アジアを相手さらなる活躍が期待される。

 そして藤岡のケガもあり、急遽大会直前での合流となったのが渡邉だ。昨シーズン、Wリーグで三菱電機コアラーズの初のファイナル進出に大きく貢献した点取り屋で、ディフェンスにも定評のある選手。三菱電機では2番ポジションを担うことが多いが、日本代表では1番ポジションと、慣れ親しんだポジションではないものの、「経験もあり、フィジカルも強くて、ディフェンスも上手い」と、トム・ホーバスヘッドコーチは選出の理由を語った。

 渡邉自身は、急な代表入りに当初は戸惑ったものの、「やるしかないと思っています。トランジションの速さや前からディフェンスで当たって、一瞬でも相手を少しでも狂わせられたらいいなと思います」と、自身の持ち味をしっかりと発揮したいと意気込んでいる。

 「日本のバスケットスタイルではポイントガードは2人では足りない」というように、足を使ったバスケットで勝機を見出す日本。スタミナ勝負に3人のポイントガードたちの働きは欠かすことができないし、チーム浮沈のカギを握るといっていいだろう。

【写真】バスケットボールキング/伊藤大充