コラム
第1回
過去3大会も激戦を制して優勝。日本が4連覇の偉業達成に挑む

 いよいよ9月24日よりFIBA 女子アジアカップが開幕する。

 アジア女王を決めるこの大会は、過去3大会で日本が優勝を果たしており、今大会では4連覇が懸かる大事な大会となる。

 過去3大会を振り返ると、43年ぶりに優勝したのがタイ・バンコクで開催された2013年大会。この大会では大神雄子(トヨタ自動車アンテロープス・アシスタントコーチ)や吉田亜沙美(JX-ENEOSサンフラワーズ)といったすでにアジアで活躍をしていたガード陣に加えて若手のビッグマンである渡嘉敷来夢(JX-ENEOS)が奮起。予選ラウンドで中国や韓国といったライバルたちを接戦の末に破って全勝を挙げると、準決勝、決勝も勝ち切り、優勝を果たした。この大会では、ベスト5に吉田、渡嘉敷、そしてインサイドの要である間宮佑圭(現・大﨑/JX-ENEOS)が選ばれている。

 そして2年後の2015年大会は、リオデジャネイロ・オリンピックの予選を兼ねた大事な大会。下馬評は日本と中国が高かったが、開催地が中国・武漢だったため、日本はアウェイの状態であった。

 しかし、予選ラウンドでの中国戦、終盤までもつれる試合を吉田が残り3秒、ミラクルシュートを決めて逆転勝ちを収めると予選を1位で通過。その後、準決勝のチャイニーズ・タイペイに勝利し、決勝では中国との再戦に。予選の試合内容からも接戦が予想されたが、試合は序盤から日本がペースを握り、前半で44-22と大差を付ける。結局、そのまま日本が危なげない戦いで85-50と勝利。自力でオリンピックの出場権を獲得した。

 この大会ではWNBA参戦により、直前合流となった渡嘉敷が試合を重ねるごとに調子を上げ、最終的にはベスト5、そしてMVPを獲得。吉田も前回に続きベスト5に選ばれた。

 そして前回大会は今大会と同じインド・バンガロールにて2017年に開催。この大会からニュージーランドとオーストラリアのオセアニア大陸の国が加入することとなり、中でも女子世界選手権(現・女子ワールドカップ)で優勝経験もある世界トップレベルのオーストラリアの存在は大きく、渡嘉敷を欠いた日本はオーストラリア、そして若手の台頭が著しい中国に挑む形となった。

 迎えた中国との準決勝、中国は2mの選手を2人擁するなど大型のチーム。日本は高さでハンデを負い、さらには大会途中に吉田が膝のケガで離脱とピンチの状態であったが、ここで踏ん張ったのが若手選手たち。ガードの藤岡麻菜美(JX-ENEOS)や宮澤、長岡萌映子(トヨタ自動車アンテロープス)らが持ち味を発揮し、僅差の試合を制した。

 そしてオーストラリアとの決勝では、前半を終えて6点ビハインドとなったものの、後半に入ると水島沙紀(トヨタ自動車)が3Pシュートを面白いように沈めて逆転勝利。74-73と僅か1点差で勝利をつかんだ。

 このようにいずれの優勝も楽な戦いは一つもなかった。もちろん、今大会も激しい争いが予想されるだろう。日本、中国、オーストラリアの3チームが有力だが、今回、オーストラリアはWNBAプレーヤーが多数参加する可能性がある。世界ランキング3位の強豪に日本がどのように戦うのか、また、高さでは日本より上を行く中国も、日本の連覇阻止を虎視眈々と狙っているだけに手強い存在だ。

 開催期間は6日間という短期決戦の今大会、参加12チームがまずAとBのグループに分けて予選ラウンドを戦うが、ここで1位になったチームは、そのまま準決勝進出となるものの2、3位のチームは、準決勝進出を懸けた準々決勝を戦わなければならない。そうなると6日間連続で試合が行われることとなるため、タフさも必要となってくる。

 日本はグループAに属し、韓国、チャイニーズ・タイペイ、インドと対戦。ここ数年の対戦ではどのチームにも負けていないため、日本に分があるが、しっかりと予選1位通過を決めて、準決勝、決勝へとつなげたいところ。

 いずれにせよ、過密スケジュールの中で行われる女子アジアカップ。「選手全員を使いたい」とトム・ホーバスヘッドコーチが言うように、総力戦でアジア女王の座を守り抜く。

【写真】バスケットボールキング/伊藤大充