BS-TBS

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放送番組審議会

第79回

2022/12

1.

日 時

2022年12月9日(金)午後3時57分

2.

場 所

TBS放送センター会議室

3.

委員会の構成

委員総数 8名
出席委員数 8名

 

出 席 者

委員長  末綱隆
副委員長 出井直樹
委員   天野篤
     瀬古利彦
     寺﨑明
     古川柳子
     田中ウルヴェ京
     橋口いくよ

 

局側

本田 常務取締役・番組審議会統括
中澤 取締役
鈴木 取締役・編成制作局長
高松 編成制作センター長・編成部長
辻  ビジネス考査部長
大手 マネジメント戦略室長
守澤 番組プロデューサー
川口 番組審議会事務局長
石井 番組審議会事務局幹事

4.

議 題

 

 

(1)報告事項

番組種別公表制度に基づく放送実績について

 

(2)諮問事項

民放連放送基準改正に伴う、BS-TBS放送番組基準の準用について

 

(3)審議事項

「帰らないおじさん」
2K及び4K放送日時:第1話 10月6日(木) 23:00〜23:30
           第2話 10月13日(木)23:00〜23:30

午後3時57分 開会

(1)報告事項

◎局側

 2022年度上期の2K4K放送の番組種別の放送時間を報告させていただきます。
2K放送につきましては、総放送時間1008時間のうち、報道が66時間458分、教育98時間47分、教養98時間25分、娯楽409時間30分、通信販売331時間20分、その他が3時間でした。報道が前年同期より11時間減少していますが、こちらは、バレーボールネーションズリーグ、世界陸上、野球編成等の理由から、「報道1930」が休止したためです。
4K放送のほうは、総放送時間が928時間24分。報道が39時間58分、教育90時間5分、教養134時間57分、娯楽378時間24分、通信販売が283時間30分、その他が1時間30分ということでございます。

(2)諮問事項

◎局側

 この度、民放連の放送基準が、人権意識の高まりや、価値観の多様化、社会情勢に合わせた広告の適正化ということを念頭に改正されました。BS-TBSの放送番組基準は、細目については、民放連放送基準を準用すると定めておりまして、引き続き民放連放送基準を準用したいと考えております。放送法第6条第3項の規定に基づき、番組審議会に諮問させていただきます。

◎委員

 今回の放送番組基準の改正に関しましては、放送法第6条第6項に基づき、諮問案が妥当である旨、BS-TBS番組審議会の答申とさせていただきます。

(3)審議事項

◎委員

 コミカルで、おもしろく、楽しめました。30分番組というのも、時間的に飽きさせないでよかった。大人が子どもに戻って本気で遊ぶ姿、またこれがおもしろい。番組自体は、くだらないのですが、何か見てしまうという不思議な番組でした。
 学校帰りの子どもが、「大人って、暇でいいよね」と言ったところとか、野球盤やっててあきれているシーン、すごくおもしろかったです。

◎委員

 私も、娯楽番組だという感想で見ていました。これを見て、最初に頭にパッと浮かんできたのは、私の小学校と中学校時代ですかね、同級生とこんなことをやっていたなと。
 「帰らないおじさん」という、こういうジャンルの番組はほかにない。そういった意味では新鮮な番組でした。フィクションに対して、出ている俳優さんもなかなかいい俳優さんがそろっていたので、それなりに見られたかなという感想を持ちました。

◎委員

 この番組、見ておもしろいとか、そういうもので判断するのかというと、そうではないと思いました。番組自体は、仕事を持って、それから家庭も持っている、要するにいいおじさんが、木曜日の、1時間半とか2時間くらいの間で、棒を投げながら遊ぶ。2話目は野球盤。
 お金をかけずに遊ぶというのが大事なところで、お金をかけないでどういう遊びが、しかも1人ではなくて3人でできるのかというところは、よく考えると、結構工夫されているのかという気はしましたが、そこまで考えさせる番組でもないと思いました。仕事も離れ、家庭も離れている。仕事と家庭の間は、どちらからも切り離された、ある意味では貴重な時間であるということなんだと思います。よかったと思ったのは、街の表情が非常によく出ていたと思いました。登場人物だけではなく、街もよく撮影されていたと思いました。

◎委員

 これを見て感じたのは、俳優さんがとてもうまい。非常に楽しく見させていただきました。だから、見ていて、ほっこりとはします。見ていて楽しいのは事実なんですが、あまり難しく考える必要もないのかなという感じがしました。テーマを選んでいくのも大変だし、俳優さんがかなり頑張っておられるという印象を持ちました。一番感じたのは、この番組、長く続けられないのではないかという気がしました。テーマもありますが、なかなか難しいかな。

◎委員

 このドラマはすごく貴重でした。これが当たり前になってほしいと思います。全ての男性にそうなれと言っているのではなくて、こういう男性がたまに路上でワチャワチャしているのが当たり前のような日本になってほしいと思いました。日本では、ちょっと家に帰りたくないと逃げることとか、男性がつながることとか、そういうことはあまりなさそうですが、それって大事なのです。なぜ逃げることが大事なのか。なぜつながることが大事なのか。なぜばかになるってことが大事なのか。これらは全部メンタルヘルスで考えたらすごく大事なことで、このドラマが出たことはすごく意義があると思っています。
 もう1つ、海外版とかもつくってほしいと思いました。このバージョンアップで、例えば、メキシコ人とフランス人が日本にいて、その人たちとなぜか日本人のおじさんたちが一緒にやっていくと、全然遊び方が違ったり、価値観が違う。みたいなことをやったら、日本のおじ様たちが、ああ、こういうのもあるんだみたいになるといいと思ったりしました。
 人生100年と言われていますので、定年過ぎると、60歳で終わったら40年もあって、そうすると自由ほど怖いことはないです。自由って実はすごく怖いことだとか、そんなことを考えると、ドラマの大事なメッセージはたくさんあると思いました。

◎委員

 こういうおじさんは日本にはいない。こうであったらいいなという、ある種のファンタジーが1つのドラマという形になって躍動していると拝見しました。仕事からも家庭からも自由になって、思う存分遊ぶことは大事だと言いつつ、そうやって遊んでいるけれど、棒に縛られていったりとか、野球盤やっても、魔球で縛られたりとか、結局見ていると自由じゃない。そういうところもおもしろかったです。
 一応企業戦士のアフター定時ということになっていますが、あの3人が企業戦士に見えません。もしも本当に仕事時間は物すごく頑張ってて、それがパーンと時間が来るとこういう世界に放たれるという設定であるとすると、そういう演出が必要ではないかという気がしました。それと、おじさんの描き方が、昭和のおじさんのステレオタイプというところから抜け切れてないような気がするなど、突っ込みどころは満載でした。
 ただ、お金もかけずにどうしようかといって遊ぶということ自体が、今、子どもの世界にもなくなっているのではないかという気がします。むしろある種、そういうところからクリエイティビティみたいなものが生まれてきたりしますが、このおじさんたちの姿を通して、子どもたちがこういうふうに遊べなくなっているみたいなことを逆に考えてしまいました。そういう意味でも、大人になってもこういう気持ちを忘れないで遊んでいることは一つのファンタジーだと思って見ていた感じです。
 こういう種類の番組、ドラマなので、別に教訓的なこととか、こういうことを表現するみたいなことを言う必要はないと思いますが、見たときに、遊ぶということの向こう側に何かが見える。夕焼けに向かって帰っていくとか、暗くなって炎を見つめている、そういうシチュエーションの中に、見た人が、心に何か残る、そういうものがあってほしかったし、十分そういう表現をすることができるテーマだったのではないかというところが、いま一歩食い足りなかったという点かと思いました。

◎委員

 原作の漫画も読みましたが、こういった30分という時間の中でやると、名優の人がやっているのですが、表情的な表現は漫画のほうが強かった。漫画はテクニカルにいろいろ考えてつくられているので、ぐっとくるものが漫画のほうが強かった。
 番組自体は、フラットに見ると、キャストとか構成だったり、映像の処理だったりというのは全く問題ないのですが、日本のおじさんに対してのこれは一種の偏見で、おじさんという年齢層も何となく漠然としているし、それをよくありそうな話にしているというところはずっと抵抗感がありました。
 あと、23時という時間帯は、現役のおじさんにとって、物すごく貴重な時間です。ここの時間帯でドラマをつくるのだったら、ほっこりではなくて、最後の5分で次への謎をつくったり、どういうことが次のメインテーマになるかみたいなのを投げるような、そういうミステリアスな部分を残したほうが、また見ようという気になるかなという感じはしました。

◎委員

 すごくいい役者さんを起用されていて、画力はあります。バッと映ると見てしまう画力があって引き込まれるのですが、何を見せられているのかという、引きが弱い。置いていかれないためには、言葉の力がすごく大事で、何となくしみるように、見終わったら、何かホロッときちゃったとか、笑ってたのに、何でかわからないけど涙目になっちゃったみたいな感じがこの中にあると、30分ですごくいい思いをした気がしますが、これに期待した人たちに応えられているかな。と思いました。
 自由の普遍性みたいなことをテーマにしてやっていくと、もう少し、中の遊びが生きてきたと思います。もしこの役者さん3人使うのだったら、どこまでがアドリブなんだろうという見え方が欲しい。舞台を見ているように、これって、どこまでがアドリブで、どこまでが決まっていたんだとか。この役者さんを見る醍醐味というのか、そういう感覚が欲しかったというのがものすごくもったいない。
 もう1つ言えるのは、すごく新しいことをやっているし、原作もおもしろいもので、絵づくりも、色もすごくこだわってらっしゃいました。つくり手がこだわって新しいことをやってみよう。自分に寄り添ってくれるようなドラマをつくりたいというのは見えてきますが、つくり手の、いい役者さんを使ってちょっと新しいことをやってやろうか、というのが透けるともったいないと思います。それは、見ているほうが我に返るということです。気づいたら見ちゃったという感じがない。放送では、制作側の自意識が見えてしまったら、すごいもったいないと思います。いい原作と、いい役者さんと、この条件ってなかなかそろわないので、ものすごい伸び率のあるジャンルのドラマだと思っていて、頑張ってほしいと思います。

*BS-TBSでは、番組審議会委員のご意見を真摯に受け止め、今後の番組内容の向上に活かしていく所存です。