大統領とロッキングチェア


アメリカ第35代大統領 ジョン・F・ケネディは、第2次世界大戦の際、腰と背中を痛めてしまい、生涯の持病となってしまいました。
医師が治療の一環として薦めたのがロッキングチェアだったのです。
イスに座ることで実際に腰痛を和らげられ、大統領執務室に置いて愛用していたようです。

湿布薬その昔


わが国における湿布薬の始まりはおよそ1500年前の奈良時代。
薬の効果がある物を痛みの出るところへ直接当てる治療法がインドから伝わりました。それはご存知のお灸であり、湿布薬の原型であったと言われています。 そのお灸とはビワの葉を使った温灸。もともとビワについては、インドのお釈迦様が仏典の中で“大きな薬効がある王様の樹”という意味で、「大薬王樹(だいやくおうじゅ)」と説いています。薬としての効果が高いビワの葉。腰などに温灸することで筋肉をほぐし、血行を良くする働きがあったようです。

平安時代に入り、新しい治療法が生み出されました。わが国で現存する最古の医学書『医心方(いしんほう)』では湿布薬について次のように書かれています。

「生地黄(しょうじおう)という植物を細かくし、それを患部につけよ。その上に竹でできた竹簡(ちくかん)を細かく割って覆い、きつく縛り、1昼夜に10回、クスリを取り替えよ。そうすれば3日で傷が癒える」

「生地黄」とはアカヤジオウという花の漢方薬のことで血行促進の効果があります。また、当時は紙や布が貴重だったので竹でできた「竹簡」と呼ばれるものを細かく割って患部に巻いていたのです。

さらに戦国時代に入ると、武将たちが戦いで負った傷を治す湿布薬が登場します。それは「金創膏(きんそうこう)」という名の貼り薬。こちらは、およそ400年の時を経た今でも売られています。「金創」とは金属の武器で負った傷のこと。その傷を治すのに使われた膏薬です。ケイヒ、シャクヤク、ダイオウなどの7種類の生薬にゴマ油を混ぜ合わせたもの。これを和紙に塗って患部へ当てていました。金創膏は血行促進、消炎作用、鎮痛などの効果があり、傷の治療だけではなく、うちみ、腰痛、肩こりなどにも効き目があったのです。

開発の歴史
昔の湿布薬は主にゴマ油を含んだものが多かったため、夏になると独特のにおいが出ることがありました。

そんな中、1930年代に大きな変化が生まれました。薬がそれまでのゴマ油が入ったものに変わり、水あめの水溶液にサリチル酸メチルなどの薬効成分を溶かして作られた、爽快感があり、爽やかな香りがある薬に変わったのです。しかも、薬を和紙ではなく布に貼って患部に貼り付けるという文字通り「湿布薬」としての使われ方が始まりました。その湿布薬はひんやりして気持ちがいいという心地よさから、あっという間に全国に広まります。

ところが・・・
今までと同じく、薬を塗ってから貼るという手法は変わらず、しかも薬が乾くと皮膚からはがれやすくなってしまうなどの問題点が生じてきたのです。

そこで当時の研究者達は、あらかじめ布に薬が入っている湿布薬の完成を目指しました。
薬が乾くのを抑える「保水力」、湿布薬がはがれづらい「粘着力」、使い勝手を求めた「柔軟性」の3つに絞り研究を進めたのです。

そして40年の時を経た1970年代・・・ついに、あらかじめ薬が入っている今の形の湿布薬が完成しました。

腰痛の原因、対処法


〜原因〜
腰痛の大きな原因の一つは、背骨の歪曲(カーブ)の乱れです。
人間の背骨は適度にカーブしています。

このカーブが大きく曲がったり、これが全く曲がらないと、大きな負担がかかって腰痛を起こしやすいのです。

〜対処法〜
腹筋を鍛えることが重要です。コリを取るためにマッサージをしたり、血行を良くするために入浴も有効です。痛み止めが含まれているので湿布薬も有効です。

湿布薬の種類


現在、腰痛・肩こりなどの痛みに効果的な湿布薬には次の2つの成分が主に入っています。

○インドメタシン

痛み止めの成分。
痛みの出る患部に貼ることで直接、痛みを和らげることができます。

○ビタミンE

血行促進作用を持つ成分。
腰痛や肩こりの原因の一つに血行不良があります。
血行が滞ると酸素や栄養分がうまく流れず、乳酸などの老廃物が蓄積され、痛みを引き起こします。
湿布薬に含まれているビタミンEは、その痛みの素となる血行不良を改善する働きがあります。


これらの2つの成分により、ダブルの効果で痛みを効果的に解消できるようになったのです!


そして・・・打撲や捻挫の炎症を鎮めるタイプの湿布薬にはさらにもう一つの成分が入っています。
○メントール

冷却作用がある成分。
打撲や捻挫の患部に貼ることで熱を持った炎症や、ハレを鎮める働きがあります。 湿布薬には貼るタイプの他に、即効性のあるローションタイプや、肘・膝などに効果的な塗るタイプの物もあります。用途に合わせて使い分けるようにしましょう。

薬のプロ〜薬剤師さんに聞いてみよう


今週の薬剤師 安部久美子さん

Q1
温めるタイプと冷やすタイプの湿布薬の使い分けは?
A:特に明確な使い分けはありません。基本的には貼って気持ちがいいと感じる方で構いません。
ただ、急激な痛みや強い炎症がある場合は、まず冷感湿布を貼って患部を冷やします。その後だんだん痛みが慢性化してきたら温感湿布に張り替えると良いでしょう。張り替えの目安は、入浴して痛みが楽になるようなら温感タイプに切り替えましょう。

Q2
温めるタイプの湿布薬で気をつけることは?
A:温感タイプの場合は入浴の30分くらい前にはがしておいて下さい。
温感タイプには体を温めるためにトウガラシエキスが入っているので、刺激が強く皮膚の温度も少し高くなっています。はがしてからすぐ入浴すると、肌がヒリヒリしてしまいます。

Q3
湿布薬の効果の持続性は?
湿布薬の効果は約12時間くらい持続します。
はがした後もしばらく効果が続くので、1日1〜2回貼り替えます。

Q4
湿布薬の使い方で気をつけることは?
入浴時に貼り替える場合は、お風呂上りは汗をかきやすく肌も敏感になっていますのでしばらく時間をおいて皮膚が十分乾燥してから新しいものを貼るようにして下さい。また、続けて貼っているとかぶれを起こしやすくなります。かぶれを防ぐためには、貼らない時間を作り、肌を休ませるようにして下さい。

Q5
塗るタイプや液体タイプの効果的な使い方は?
かぶれやすい人や、肘や膝など湿布がはがれやすい場所には塗るタイプが効果的です。
使うコツとしては、痛いところより少し広めに塗りましょう。また、湿布と違って入浴後の使用が効果的です。軟膏やクリームタイプはすり込むように塗りましょう。液体タイプのものは、一度塗って乾いてからもう2〜3回重ね塗りをすると効果的です。