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2013年11月16日放送

8日に発表された10月米雇用統計は、非農業部門の雇用者数が市場予想の12万人を大きく上回る20.4万人の増加となった。さらに9月と8月の数字も、それぞれ14.8万人から16.3万人、16.2万人から23.8万人へと大幅な上方修正となった。

これを受けて、ドル円相場は米国の景気回復期待からドル買いが先行。約2ヵ月ぶりに1ドル=100円台に突入した。また株価もニューヨーク・ダウが史上最高値を更新。東京市場でも日経平均株価がほぼ半年ぶりに1万5000円台を回復するなど、日米の市場は久しぶりの活況を呈した。

14日にはイエレン次期FRB議長の議会証言が、米上院銀行委員会の公聴会で行なわれた。イエレン氏は証言で「現在の7.3%の失業率では高過ぎるほか、物価上昇はインフレ目標の2%に達していない」と強調。「力強い回復が実現すれば最終的にFRBは金融緩和を縮小することができ、資産買入れのような非伝統的な政策手段に頼ることもなくなる」「今日経済回復を支援することが、より正常な金融政策アプローチに戻る最も確実な道だと確信している」と明言した。

その後の質疑応答では「量的緩和は永久に続けられる訳ではない」と前置きしたうえで、「量的緩和の縮小には期限を設定しておらず、FOMCで毎回検討していく」と述べた。また、量的緩和の効果については「現在は効果がコストを上回っている」との見解を示している。

市場参加者からは「現在のバーナンキFRB議長のもとでの政策の継続性を重視した証言内容」との声が多く、概ねバランスのとれた内容だったと、概ね好意的に受け止められている。また今回の公聴会を受けて、量的緩和の規模縮小(テーパリング)の時期についても、「再び遠のいたのではないか」との見方が優勢になっており、これがドル高、ダウ平均の最高値更新の背景ともなっている。

来週も米国の金融政策の変更時期に関心が集まりそうだ。19日にはバーナンキ議長の講演が予定されているほか、10月29-30日分の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公表される。年内の政策変更の可能性が完全に消えた訳ではないため、市場は神経質な展開になりそうだ。

量的緩和の縮小が先送りされるとの観測が再び強まれば、一気に103円台の円安ドル高が実現することも考えられる。一方で、やはりバーナンキ議長の決断で政策変更が実施されるとの見方が復活すれば、98円台までの円高も想定しておいた方がいい。米金利の低下と平行してドル高円安が進むという、ある意味では矛盾した動きになっているため、市場では「むしろ円高リスクが高まっている」との指摘もある。

目先はドルの底堅い動きが続くというのがメインシナリオだが、ポジション調整のドル売りが予想外の円高の引き金になる可能性にも留意したい。

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