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2012年11月3日放送

日銀は30日に政策決定会合を開催し、追加の金融緩和政策を発表した。詳細については後述するが、量的緩和の上限をこれまでの80兆から11兆円増やして、91兆円としている。2ヶ月連続の金融緩和は実に9年半ぶりのこと。日銀も徐々に現状への危機感を持ってきたのか、あるいは政治サイドからの強い要請に応じざるを得なかったのかは定かでないが、今までの対応からは一歩前進したことは間違いない。市場の一部では、早くも次回会合での追加緩和を期待する声も出ている。

今回の政策決定会合での決定事項のなかで、注目すべきは以下の三点。

1.量的緩和の上限の拡大。今回は長期・短期国債それぞれ5兆円、CPを0.1兆円、社債を0.3兆円、投資信託を0.5兆円、REITを0.01兆円、合計で約11兆円増額する。総額ではこれまでの80兆円と合わせて91兆円となった。

2.新しい貸出制度の創設。これまで日銀は「成長基盤強化を支援するための資金供給」を総枠で5.5兆円設定していたが、今回、「貸出増加を支援するための資金供給」を新設。金額は無制限、貸出金利は貸出実行時の誘導目標金利(現在は0.1%)での長期固定という積極的な制度となっている。

3.日銀と政府が連名で「デフレ脱却に向けた取組について」という声明を発表。日銀は消費者物価指数1%という当面の目標を達成するまで、金融緩和を継続することを改めて表明するとともに、政府はデフレ脱却に向けた経済対策をしっかり実施することを互いに確認する内容となっている。

政策の内容はまだ十分とは言えないが、確実に前進している。円高を阻止する効果も、ある程度はあると考えられる。外国為替相場は円安方向に向かいやすい環境になっていると考えておきたい。

ドル円は日銀の金融緩和が実施されたうえに、さらなる緩和を期待する声もあり、円安方向に推移する公算が大きい。ユーロ円に関しては、欧州の財政不安が根強いこともあり、若干円安に振れることがあったとしても、限定的な動きになりそう。

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