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2010年5月22日放送

金融市場に不安感が蔓延している。きっかけの一つを提供したのはドイツ金融監督庁。国内主要金融機関10社の株式とユーロ圏の国債及びCDSについて、現物の裏付けを伴わない(ネーキッド)空売りの禁止を決めた。

これは、相場の下落を阻止することを狙ったモノだったが、決定後、フランスの財務相が「ドイツのネーキッド取引禁止にフランスは追随しない」、「ドイツによる一方的なネーキッド取引禁止の決定は残念」などと発言したことで、ユーロの足並みが全く揃っていないことが露呈。その結果、金融市場では投げ売りが一斉に起こり、今まで資金の流れ込んでいた資源国通貨や資源価格、株価指数などが急落している。

また、市場心理を表すといわれるVIX指数(ボラティリティインデックス、恐怖指数)は木曜日には45.79まで上昇。2009年4月以来の高水準をつけている。

為替相場では、特に動きが激しくなっているのが豪ドル。13日に発表された新規雇用者数は予想の2.25万人を大幅に上回る3.37万人となり、18日のRBA議事要旨では、「豪州に対するギリシャ危機の直接的な影響は小さい」という見通しが示された。しかし、豪ドル/円は急落を続けており、4月30日につけた今年の高値88.06円から18%程下げている。

また、アメリカに目を転じると、FOMCで、米失業率が改善方向で修正された他、今年のGDP成長率も上方修正されてきる。しかし、そうした状況にも関わらず、5月上旬に11,200ドル台を付けていたダウ平均株価は、現在10,000ドル近辺で推移している。

こうした動きは、市場の不安が増幅し、市場参加者がファンダメンタルズを無視して、保有資産を投げ売っていることを示唆している。こうなると、保有資産がある程度整理されるか、もしくは不安感が払拭されるまで相場の下落は止まらない。

しかし、ユーロの問題は根が深く、解決はまだまだ先の話である。そのため不安感の払拭で相場が下げ止まる展開は期待しにくい。ポジション整理が一巡するまで、売りが続く可能性が高そうだ。大分下げたからと行って、もうそろそろ下げ止まると、値頃感で安易に判断することは避けたい。

ユーロの問題がきっかけになり、リスク回避の動きからクロス円が大きく下落している。ユーロ円も再度110円を割り込むリスクがある。

ドル円はユーロ円に比べてると小動きになっているが、クロス円が売られているため、ドル円も上昇していくのは難しそうだ。

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