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2010年1月16日放送

今週12日、中国人民銀行は預金準備率を18日付で0.5%引き上げることを決定した。昨年は、金融緩和の影響で銀行の融資残高が前年比30%とふくれあがっていたが、旧正月を2月中旬に控え再び銀行融資の拡大が予想されることから、準備率の引き上げによって銀行融資の抑制を狙ったものと思われる。また、不動産価格が居住用、商業用共に上昇している。2009年12月の不動産販売価格は7.8%増と7ヶ月連続プラスを記録した。特に深センが前年比で18.9%増と急速に上昇している。こうした不動産価格の上昇も、銀行融資の増加を背景に投機資金が住宅市場に流入したためと見られ、こうした不動産バブルの抑制も預金準備率引き上げの目的の一つと見られている。

もっとも、中国当局の狙いは、あくまでも『一部』に見られる過熱感の沈静化であり、景気そのものを冷ますつもりはない。12月に開催された中央経済工作会議においても「適度に緩和的な金融政策の継続」が示されている。経済の状況を見ても、○2009年に鉄鉱石や原油の輸入量が増加したこと、○2009年の輸出額が前年1位のドイツを抜いたこと、○新車の販売台数が米国を抜いて世界トップになったことなどを発表しており、非常に堅調な様子が見て取れる。

また株価の動きを見る限り、高値でもみあってはいるものの急速に上昇しているわけでも、過熱感が見られるわけでもなく、バブルの様相を呈していない。今回の金融引締めによって株価の上昇はやや鈍るかもしれないが、中国の堅調な経済環境に大きな変化は起こらないと考えておきたい。

中国人民銀行の預金準備率引き下げで、一時クロス円が全面的に売り込まれる場面もあったが、世界各国の株価がしっかりしており、為替相場も落ち着いた動きをすると予想される。ゆっくりと円安が進みそうだ。

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