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2008年8月23日放送

世界経済の減速が鮮明になってきている。国際通貨基金(IMF)が今年4月に発表した2008年の経済見通しでは、世界全体で3.7%と2007年の4.9%から1.3ポイント程度低下すると予想している。先進国、新興国ともに成長率は減速するとの見通しになっているが、最も大きな要因は資源価格の高騰に伴うインフレの加速である。

今後、世界経済が回復するのか、低迷が続くのかを占う場合に鍵を握るのは、米国経済と世界的なインフレの動向の二点である。米国経済に関しては、金融機関の経営状況が如何に改善していくかが一つのポイントで、それを左右する大きな要因は住宅市場の動きであろう。また、秋には所得減税の効果が剥落するため、それによりどの程度景気が影響を受けるのかにも注目が集まる。
また、もう一つの懸念材料であるインフレ動向についても要注目である。世界経済の減速により資源価格が低下すれば、インフレ圧力も緩和されることが期待できるが、それも現状では不透明である。

米国の住宅市場に関しては、足元の価格の低下に歯止めがかからない状態にある。S&P/ケースシラーの20都市を対象とした住宅価格の動向を見ても、月を追う毎に価格が低下していることが確認できる。住宅価格の低下が続ければ、更なる不良債権の増加を誘発し、金融機関の経営圧迫要因となってくるだろう。

また、世界的なインフレの動向も不透明である。各国の消費者物価指数の推移を見ると、昨年の後半から上昇が加速し、依然として上昇が止まらない。国内でも値上げラッシュとなっているが、これは日本に限った話ではない。このままインフレ率が低下しなければ、世界経済は益々落ち込むリスクが高まることになる。

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