榊原・嶌のグローバルナビ


マーケット・ナビ

バックナンバー

2008年5月10日放送

5月8日付けのイギリス経済紙・フィナンシャルタイムズは、欧米両サイドの政府高官の発言として、欧米がドル安是正で合資している旨を報じた。4月11日に開催された7カ国財務相中央銀行総裁会議(G7)の声明文に「主要国において時として急激な変動があり、我々はこれらが経済及び金融の安定へ与える影響について懸念している。」という内容が盛り込まれたが、これがドル安是正を示唆するものであるとの認識を記事は示唆している。

また、最近の米国の経済指標で予想を上回る結果が相次いだことから、米国経済への悲観論が一時的にせよ後退。ドルの買い戻しが起きていて、一時1.6まで上昇していたユーロ/ドルも反落した。そうした中で、主要国のドル安是正の姿勢が報じられたことからユーロが対ドルで続落することとなり、一時は1.52台をつける局面もあった。こうした展開を受けて、国内の機関投資家もユーロ売り円買いを活発化させた。その結果、対円でもユーロ安が進行し、ユーロ円は160円を割り込む展開となった。

欧米でドル高歓迎の方向が示された理由の1つとして、ドル安が原油価格の上昇を加速させてきたのではないかという見方がある。原油価格は米ドル建てで取引されているが、ドルが減価することがドル建ての原油価格を押し上げているという考え方であろう。確かにユーロドルと原油価格にはある程度の相関が見られる。しかし、ここ2週間ほどユーロが下落した局面でも原油価格の上昇は止まっていない。今のところ「ドルがユーロに対して上昇すると原油価格上昇が抑制されるのではないか」という期待通りの展開には、残念ならがなっていない。

GW中まで緩やかな円安傾向が続いていたが、国内輸出企業の円買いや、米国の金融株が再び下落していることなどから、円高傾向に反転を見せている。目先大きく円高方向に振れる可能性はそれほど高くはないものの、一時よりは円高リスクは高まってきた。米国の株式市場の動向を見ながら、神経質な相場展開が予想される。予想レンジはドル円101円-105円、ユーロ円は157円-162円

上に戻る▲