榊原・嶌のグローバルナビ


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第407回 2008年11月1日 放送

10月最終週、金融市場は激しい乱高下を見せました。東京株式市場の平均株価は一時6900円台へ突入したかと思えば、翌々日には9000円台を回復するなど2000円を超える幅で変動。また、外国為替市場も1ドル=92円台から98円台と大幅な値動きを見せました。こうした中、大手企業が9月期の中間決算を発表。大幅な減益が次々と明らかになり、金融危機が実体経済まで波及していることを強く印象づけました。

こうして減速感が高まっている景気の先行きに対し、日銀出身の平野英治さんは「金融システムがいつ安定するのか、海外経済がいつ回復に向かうのかによって、全治3年で済むかもしれないし5年かもしれない。意外ともっと早いかもしれない、相当な幅を持って見ていかないといけない」との見方を示しました。しかし、アメリカや欧州各国に比べると、日本は相対的に恵まれているというのが平野さんの意見です。日本には4つの好材料があると言います。(1)比較的健全なバランスシート (2)低いインフレ率 (3)成長のセンター\アジアに位置する (4)高い技術力、 以上の4つのポイントが日本の強みだというのです。世界同時不況ではあるものの、日本にはチャンスがある、というのが平野さんの考えです。

こうした経済状況にあって、麻生総理は定額給付金の支給や高速道路料金の引き下げ、中小企業向けの金融支援など新たな総合経済対策を発表しました。平野さんはこの発表を「景気後退、更にはデフレのリスクもある中で迅速な対応だった」と評価。各国が協調し、金利を下げているなかで日銀の政策金利が0.5%から0.3%に引き下げられたことに関しては、引き下げ幅が0.25%ではなく2%にとどまったことに対し「あまりすっきりしない数字」と話しました。

20世紀の経済危機、大恐慌のときにはニューディール政策によってアメリカは立ち直りました。21世紀の経済危機、サブプライム問題に端を発する世界同時不況を救う経済政策はあるのでしょうか。平野さんは次のように話しています。「単に一国の政策ではなく、協調してグローバルニューディールという考え方が今後は必要なのです」。

「今回の危機を乗り越えた後にどういう世界になるのかを見据えて、世界経済の構造変化に対応する構想力を打ち出す。日本はそれが出来る!」


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