「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#390 マヤ文明と断崖の秘境 スミデロ渓谷(メキシコ) 2018/4/18 O.A.

アステカ文明の痕跡を探して メキシコシティ

今回の舞台は陽気なアミーゴの国、メキシコ。1日目は首都、メキシコシティを巡ります。世界遺産に指定されている旧市街を歩いていると、激しい太鼓の音色が聞こえてきました。近づいてみると、派手な衣装を身に着けた人々がダンスをしています。これはアステカ時代、自然を敬い、感謝するための儀式として踊られていたものです。メキシコシティがある場所は、かつてアステカ王国の首都テノチティトランがあり、アステカ文明を後世に伝えようと活動していました。中心部から少し外れたソチミルコもその一つ。色とりどりの遊覧船が行き交う運河は、昔の湖の名残を感じられる場所なのだそうです。アステカの名残が残るソチミルコは、家族や仲間が集まって楽しめる、人気の観光地になっていました。

メキシコの原風景 チアパス州

2日目は、南東部に位置するチアパス州を訪ねます。今もマヤ文明の末裔たちが多く暮らし、伝統文化が息づいている場所、シナカンタンを訪れると、機織りや刺繍をしている女性たちがテーブルランナーなどを作っていました。完成した工芸品の数々は、どれも独特の色合いで、お土産に買っていったら喜ばれそうです。織り機の端を腰にかけて織るのが伝統のスタイルで、時間をかけて作られる繊細な手芸の美しさに目を奪われます。「女性はみんな織物ができるのよ」「織物ができない女は嫁に行けないと、親に言われて育つのよ」そうやって母から娘へ受け継がれていく美しい伝統は、きっと何百年も前から続いてきたのでしょう。

断崖の絶景 スミデロ渓谷

3日目はチアパス州最高の絶景、スミデロ渓谷がお目当てです。グリハルバ川を遊覧船に乗って遡っていくと、両側の断崖がどんどん高くなっていきます。数百万年前に海底が隆起して生まれた断崖は、高いところでおよそ1000メートル。野生のワニや、大自然が生んだアートのような景色を楽しめました。観光PR用の写真を撮影しているという男性に誘われたのは、渓谷の絶景を見ることができるという展望台です。しかし美しい風景には歴史的な悲劇の物語もありました。かつてスペインがメキシコを侵略した時、この地に住んでいた先住民たちは、奴隷になることを避けるため、自ら渓谷へ身を投げたのです。激動の歴史の傍らで、泰然と佇むスミデロ渓谷は、アイデンティティーを守り抜いたメキシコ人の誇りの象徴でした。