「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#373 ピレネーに輝く聖地ルルドと巨大圏谷(フランス) 2017/11/22 O.A.

キリスト教の一大巡礼地 ルルド

旅の始まりはピレネーの麓の町、ルルド。キリスト教の一大巡礼地で年間600万人もが訪れます。1858年、14才の少女ベルナデッドが聖母マリアと遭遇し、お告げを受けて洞窟を掘ると泉が湧いて、その水で難病が治る奇跡がいくつもおきました。大聖堂の壁には、実際に病やケガが治った人々が、お礼のために奉納した碑文が刻まれています。泉の奇跡として教会が認定したのは、今までに69件。しかし、それをはるかに超える奇跡が刻まれていました。奇跡を検証するために泉の水を医者や化学者たちが調査しましたが、特別な成分は見つかりませんでした。それによって「ルルドの奇跡」と呼ばれているそうです。夜にはマリア様に祈りを捧げる儀式があり、ロウソクの行列がとても美しく荘厳な雰囲気に。毎晩行われる行進は多い時には2万人以上が参加します。暗闇に浮かぶロウソクの灯りはまるで星のよう。人の思いが生んだ絶景が、そこにありました。

ピック・デュ・ミディ天文台

2日目に訪れたのは絶景の天文台、ピック・デュ・ミディ。430キロにわたって連なるピレネー山脈の、ほぼ真ん中。3000メートル級の峰々が集まる、絶景エリアです。ロープウェイを乗り継いで標高2877メートルの峰へ。搭乗口は雲に覆われていましたが、頂上は見事に晴れていて、360度のパノラマを誇ります。この天文台は3000メートル近い高さ、そして尖った山の頂上にあり、周囲に高い山がないので、景色を見渡すには理想的な場所。この天文台のもう一つの魅力は、星空。数年前に研究者用の宿泊施設の一部がホテルに改装され、一般客も泊まれるようになりました。1日15部屋のみで、ロープウェイは夕方で止まってしまうため、星空は泊まった人だけのお楽しみ。周囲に高い山がないので乱気流が起きず、大気が安定しているので、雲が出づらくて天文観測をするには世界でも有数の場所。頭上には、天文学者さえ魅了されるという、世界屈指の星空が広がっていました。

「自然の大劇場」ガヴァルニー圏谷

最終日はピレネーの巨大な谷、ガヴァルニー圏谷。圏谷とは谷の形がお椀状のもの。200万年前、この一帯は氷河でおおわれ、その氷河に削られて生まれたのが、ガヴァルニー圏谷。美しい自然と、その中で守られてきた放牧などの伝統が評価され、世界複合遺産に登録されています。その形状は古代ローマの劇場コロッセオに似てると言われ、ここをよく訪れた作家のヴィクトル・ユゴーはガヴァルニーを「自然の大劇場」と讃えたそうです。絶壁には落差が422メートルあるヨーロッパで最大の滝が。ガヴァルニー村からその滝の麓まで川沿いを歩く、ハイキングコースになっていました。村から2時間ほど歩くと、お酒と食事が楽しめるカフェがあり、滝と圏谷を眺める絶景スポットになっていました。最後は岩だらけの上り坂を歩いて1時間、ようやくヨーロッパ最大の滝の真下に到着。180度をぐるり、巨大な絶壁が囲んでいて、崖が迫ってくるように感じます。この圏谷に入ると すっぽりと囲まれて、まるで大きな自然に抱かれているようでした。絶景を眺める人たちのは幸せそうな笑顔。旅の最後に辿りついたその場所は、「幸せの劇場」でした。