「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#363 ナポレオンが愛した 中世の名城(フランス) 2017/9/13 O.A.

革命記念日のパリ

旅の始まりは世界屈指の観光都市、パリ。旅したのはフランスの一番大切な日、革命記念日です。シャンゼリゼ通りでは兵隊や戦車がパレード。戦闘機もすぐ真上を飛び、トリコロールカラーの飛行機雲がパリの空を誇らしげに彩りました。パレードを楽しんだあとは、セーヌ川を巡る遊覧船のツアー。世界遺産を川から眺めて楽しめます。その後はノートルダム大聖堂へ。フランス革命時に権威の象徴として破壊された大聖堂。ピエルフォン城の修復も手がけた建築家ヴィオレ・ル・デュクによって修復されたそうです。パリの最後に見たのはエッフェル塔で行われた光のショー。今のフランスの原点となった革命記念日の華やかなフィナーレです。いま、自由であること。その喜びが、パリの夜空いっぱいに広がりました。

シャンパンの本場 ランス

なだらかな丘に葡萄畑が広がり、風土と深く結びついたシャンパンが評価されている街、ランス。訪れたのは世界的なブランド、テタンジェの伝統的なカーブ(貯蔵庫)。20メートルの深さまで広がる洞窟のようなカーブには約2600万本のシャンパンが。一年を通じ、8度から12度に保たれているという天然のカーブ。最深部には4世紀のローマ帝国時代に採石場だった場所がありました。ローマ人がランスの街を拡張するため採石していた場所をカーブとして利用。世界遺産にも登録される貴重な遺産でした。そしてこの街にはもう一つの名物が。それはノートルダム大聖堂。高さ81メートルを誇るゴシック建築の最高峰のひとつです。かつてフランスの歴代国王は、ここで戴冠式を行わないと、正式に王とは認められなかったという由緒ある大聖堂。夜に行われるのは聖堂の正面をスクリーンに見立てた、プロジェクションマッピング。13世紀に大聖堂が建設される様子や、完成当初の色彩を甦らせた美しいCG映像で大勢集まった観光客を魅了します。21世紀のテクノロジーで、しばし過去にタイムスリップ。中世への深いリスペクトを感じました。

中世の名城 ピエルフォン城

最終日はランスから西へ80キロにあるピエルフォン城へ。パリのノートルダム大聖堂を修復した天才建築家 ヴィオレ・ル・デュクによって中世の姿を取り戻しました。中世の時代には要塞として使用されていたそうですが、17世紀に地方の反乱を恐れたフランス国王によって破壊され、廃墟となっていたピエルフォン城。19世紀、修復を決断したのは皇帝ナポレオン3世。修復中にも頻繁に城を訪れ、ヨーロッパ中の国賓を連れてきて見事な修復を自慢して回ったそうです。
最後は城を外から眺めるために森の中へ。出会ったのはピエルフォン城が目の前に見える別荘を持つ親子。中世の時代には城の監視塔だった建物を買い取り、20年がかりで別荘として住めるように修復。かつてはナポレオン3世が恋人と過ごす秘密の別荘として使われていたそうで、まるでこの家のために城があるかのような眺めが楽しめました。ナポレオン3世のこだわりと建築家デュクの天才が出会い、より美しく甦った中世のお城。そしてその眺めを愛する現代の人々。ピエルフォン城の物語は、こうしてずっと続いていきます。