「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#330-331 森高千里のニューヨーク物語 歩いて 出会って 夢を見て
(アメリカ)
2016/12/16 O.A.

ニューヨーク初日!街中がエンターテインメント!

アメリカ最大の都市、ニューヨーク。その中心、マンハッタンから旅は始まりました。やってきたのは、世界のショービジネスの中心、タイムズスクエア。巨大なネオンサインで埋め尽くされた華やかな交差点です。
大道芸に出会ったり、面白いバスにも乗りました。その名も「THE RIDE」。NYの名所を回りながら通行人に扮したパフォーマーが歌やダンスを繰り広げる、新感覚のエンターテイメントです!そのパフォーマンスがどれも本格的で、まるで街中がブロードウェイのようでした。さすがニューヨーク!旅の始まりからエンタメいっぱいのマンハッタンを満喫しました!

続いて訪れたのは、ニューヨーク観光の王道エンパイアステートビル。その86階の展望台からマンハッタンの大パノラマを臨みます。
案内してくれたのはビルに勤めるガヅィさん。まずは二人で80階にある歴史博物館へ。ガヅィさんによると、エンパイアーステートビルが建てられたのは1931年。当時は世界一高いビルだったそうです。しかも驚くのはその建設スピード、わずか1年と45日で建てられたというのです。それを叶えた背景には、当時のニューヨークの経済状況がありました。1931年は世界恐慌のまっただ中。失業者が街に溢れる中、ビル建設のために多くの労働力が確保出来たのです。そして更に、この建設のスピードを後押ししたのが…もう一つの象徴的な摩天楼、クライスラービルの存在です。その当時、エンパイアステートビルと高さで世界一を競っていました。摩天楼で世界一になることが時の権力者の富とプライドをかけた争いでもあったのです。結果、40年間エンパイアステートビルは 世界一の高さとしてマンハッタンの街に君臨し続けました。20世紀の夢の象徴として今なお、訪れる人を感動させるエンパイアステートビル。摩天楼誕生の秘密を知りました。

ニューヨーク2日目!大都会のオアシス“セントラル・パーク”

2日目はマンハッタンで行きたかった場所の一つ、セントラルパークを訪ねました。南北4キロ、東西800メートルの島の中央に位置する広大な公園です。園内は馬車で回れることを知り、御者のロンさんの案内でさっそく優雅に散策スタート。自然の美しさや人々のくつろぐ姿を眺めながら、お目当ての場所へ到着しました。それは公園の西の一角にある円形の石碑、ストロベリーフィールズ。実はここ、私が大好きなビートルズのジョン・レノンに縁のある場所なんです。

1980年この目の前に立つ自宅アパートで襲われ、世を去ったジョン。
セントラルパークはジョンが生前大好きだった場所の一つ。ジョンが生前から訴えていた「平和」を偲ぶ場所として、このストロベリー・フィールズは造られたのでした。私自身も実際にその場所に立つことが出来て、セントラルパークを、そして平和を愛したジョンの歌声が聞こえてくるようで、胸に込み上げてくるものがありました。

ニューヨーク3日目!対岸の街、ブルックリンへ!

ニューヨーク3日目はマンハッタンを飛び出てイーストリバーを挟んだ対岸の街、ブルックリンを目指します。マンハッタンで出会ったストリートアート専門の写真家、ルナさんと一緒に巡ることになりました。ストリートアートはニューヨーク在住のアーティストによって描かれた巨大壁画のこと。建物の文化的価値を高めるために今、ブルックリンでは多く描かれているんだそうです。

ブルックリンへは全長2kmの巨大な吊り橋「ブルックリン・ブリッジ」を渡って向かいます。この橋はニューヨーク最古の吊り橋でもあり、目を見張るのは橋全体に張り巡らせたワイヤーの美しさ。「スティールハープ(幾何学模様のハープ)」という通称で、ニューヨークの象徴的な風景の一つにもなっているそうです。
橋を歩くこと30分、ついにブルックリンに到着。かつてこの街は造船業や製造業で栄えたマンハッタンのベッドタウンでしたが、90年代にマンハッタンの家賃が高騰したことから多くのアーティストが対岸に移住。今ではアートの街として再注目されています。

少し歩くと、早速その光景が目に飛び込んできました。建物全面に描かれた巨大な壁画がズラリ。そのどれもが個性的で力強いパワーを感じます。ルナさん曰く「広告は一方的なメッセージを発するだけだけど、壁全体に描かれたアートは自由に想像力を働かせてくれる…」と。
私自身、そのアート一つ一つに目を凝らしながら絵から伝わるメッセ―ジを感じとってみました。

ニューヨーク3日目!夢の架け橋“ブルックリン・ブリッジ”

ストリートアートを見た後もブルックリンの街をまだまだ散策します。歩いていると、一軒のカフェから楽器の音色が聴こえてきました。その音色につられ、さっそく店内へ…。そこではトロンボーンのジャズの演奏が行われていました。奏者はコーリー・ウォレスさん。ブルックリン在住で、よく街のバーやカフェで演奏していると言います。音楽を愛する者同士、お互いの音楽談義で盛り上がりました。音楽をやっていて楽しいと思う瞬間、そして成し遂げたいこと。話し合ううちにコーリーさんがとても熱い情熱を持って音楽に取り組んでいることが分かり、ニューヨーク、マンハッタンで成し遂げたい夢を聴くことが出来ました。

その源はどこから湧いてくるのか、尋ねると、コーリーさんにとって心の支えになっている場所があるとのこと。それは昼間にマンハッタンから渡ってきた「ブルックリン・ブリッジ」。早速、コーリーさんに連れて行ってもらうことに。そこで広がっていたのは、橋越しに光輝く対岸の街、マンハッタンの摩天楼群です。コーリーさんにとって、マンハッタンは夢の舞台。そこでトップになることは世界で自分の音楽を伝えていくことでもあります。
かつて、多くの夢追い人を運んだブルックリン・ブリッジ。それは近くて遠い、ステージをつなぐ、夢の架け橋です。

ニューヨーク4日目!最果ての地ロングアイランドへ…

ニューヨーク4日目は早起きして少し遠出することにしました。目的地はマンハッタンの東側に伸びた長〜い島、ロングアイランド。実はここもニューヨーク州なんです。ロングアイランドへの旅は、前日ブルックリンで偶然出会ったワイナリーのオーナー、ジョバーニさんに会いにいく為でもありました。ジョバーニさん曰くロングアイランドは海も自然も素晴らしく、美しい島なんだとか。ワイナリーも50ほどあるそうです。
マンハッタンから電車で2時間、ジョバーニさんの住む“マッティタック”の町に到着しました。さっそくロングアイランドで最も古いと言う、ジョバーニさんのワイナリーへ向かうことに。ジョバーニさんの前は、ご両親が経営されていたそうです。しかし、2年前ご両親が相次いで急死。大切なワイナリーを守ろうとジョバーニさんが跡を継いだそうです。

悲しみの中、ジョバーニさんを支えてくれたのは、ワイナリーの仲間だったと言います。ご両親の代から、ジョバーニさんを実の息子のように、そして時には同志として励まし、寄り添ってきたそうです。
そんなジョバーニさんが大切にしているロングアイランドの絶景に最後に連れて行ってもらいました。それは、島の果てに位置する岬“オリエントポイント”。岬の向こうには大西洋が広がり、小さな灯台が沖合に一棟だけ佇んでいます。
その灯台は南北を行き来する船の道しるべ。ジョバーニさんにとっても、この灯台は常に自分を見つめ直す、大切な心の道しるべでした。ニューヨークの最果ての岬で心温まる、美しい絶景に出会えました。

ニューヨーク最終日!空から見る、魔法の時間…

ニューヨークの旅もいよいよクライマックス。実は最後にどうしても見てみたい絶景がありました。それは空からニューヨークを見ること。
訪れたのは、郊外のヘリコプター場です。ニューヨークの空を飛び続けて35年、さらにこれまで数々の映画やテレビ番組の空撮を操縦してきた名パイロット、アル・セルーリョさんと一緒に空を飛びます。時刻はちょうど日没。まずはマンハッタンの南側、自由の女神へ大接近!女神の正面へと滑り込んでいきます。そして、2日前に渡ったブルックリンブリッジの上空を一またぎ!

摩天楼がそびえ立つ南側はウォール街。大勢の人が働いています。島を更に奥へ…。ひときわ光り輝くのはタイムズスクエアのあるミッドタウン。かつて背比べしたエンパイアステートビルとクライスラービルもそり建ちます。北側を埋め尽くす緑の宇宙は、セントラルパークです。そのどれもが、日が落ちると当時にキラキラと宝石のように光り輝きます。まさに、マンハッタンは光の島。その光の数だけ人がいて、出会いがあって、そして夢があって…。世界で一番キラキラした街の魔法の時間を漂いました。