「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#321-322 ヨーロッパベスト 自然と人の物語 2016/10/7 O.A.

神秘の大潮 モン・サン・ミシェル(フランス)

旅の目的は中世から続く巡礼の聖地、モン・サン・ミシェル。海の干潟の岩山に建てられた、世界遺産の修道院です。中はひとつの町みたいですね。聖堂では一番の上に登って最も美しく湾が見える場所を堪能。そして飛行場からグライダーにのって上空1000メートルから最も美しいモン・サン・ミシェルに出会いました。そしてかつて中世の巡礼者と同じように干潟を歩く、人気のツアーにも参加。7キロを3時間くらいかけて歩きます。着いた頃には海水がどんどん迫ってきてあっという間に大潮に包まれました。その風景が一番美しく見えるという対岸の橋から見るモン・サン・ミシェル。それは海の干潟に人が作り上げた、世界で一つだけの絶景でした。

プロヴァンスの花絨毯(フランス)

続いては南仏。プロヴァンスの高原を埋め尽くす、ラベンダーの花絨毯です。訪れたのは花の町、ヴァランソル。地理的に高原に位置し、ラベンダーの栽培に最適な土地で栽培量はヨーロッパで一番だそう。農家を訪ね、そこには一面のラベンダー畑がありました。そこはまさに花の絨毯。写真のような美しさだけじゃなく、ミツバチの羽音やラベンダーをそよがせる風の音、そして香り。そのすべてが心地よさを感じさせてくれました。農家の方が手塩にかけた一輪一輪が集まって、やがて織り上げられた花の絨毯。短い花盛りにしか見ることのできない美しくもはかない絶景です。そして日没の時、その色は燃えたつような、赤紫に一変します。まるで夕日が満開の花畑を祝福しているようで、眺めているうちに、いつしか心もあたたかく満たされていきました。

巨大火山 エトナ(イタリア)

旅の目的は世界遺産でありヨーロッパ最大の火山、エトナ。まずはシチリア島の東部、麓の町、カターニアを訪れます。町のあちこちにエトナの溶岩を使ってつくられた建物がたくさんありました。大聖堂には1669年に町を襲った噴火の様子を描いたフレスコ画が。火口から流れ出した真っ赤な溶岩が町まで流れ、そのあとの地震で町は壊滅。カターニアは再生の町。これまで7回壊滅して7回再生したそうです。でもエトナは豊かな土壌を育んでくれるので何度壊滅させられても人々はエトナを愛し、この町に住み続けてきました。最後はヘリでエトナ山の頂上を、空から眺めます。火口からは白い噴火ガスが上がり、いまも活動中なのがよくわかりました。体内に激しさと恵みを秘めるエトナ。その姿はまさに、母そのものでした。

船が空を飛ぶ入り江 ランペドューザ(イタリア)

続いては地中海に浮かぶイタリア最南端のランペドゥーザ島へ。いいお天気にめぐまれ島のメインストリートを抜けて、まずはコニーリ海岸へ。ここ数年、ビーチの美しさで知られるようになったランペドゥーザ島。すごい透明度で期待以上の美しさ、さすがイタリアの楽園といわれるだけあります。水の中に潜るとなんだか、夢のなかを漂っているような気分でした。港で漁師の親子に出会い、一番美しいというタバッカーラ海岸に船で案内してもらうことに。その海岸はほんとに海の底が真っ白。海底が白いから、水の色がこんなにもきれいに見えるんですね。船の上で漁師さんが手料理を作ってくれました。釣ったばかりのカジキマグロをトマトソースとニンニクのソースをからめたペンネ。こんな暮らし、うらやましいなぁ…さらに絶景は船が宙に浮かんで見える場所へ。船を別の船に近づけていくと、白い海底に船の影が映って飛んでるように見えました。これも、水が透明だからこそ…。自然のいたずらを心ゆくまで楽しみました。

天空の町 モトブン(クロアチア)

霧の美しさで知られる天空の町モトブンへ。アドリア海に面した国、クロアチアの北部に位置するこの町は丘の上にあり、斜面にへばりつくように家々が並んでいます。人口はわずか480人。町に入ってみると日本の里山のような雰囲気です。実はここは世界的なトリュフの名産地。早速、トリュフの里と呼ばれる森へ。そこにはカシの木が並び、上質なトリュフが根元に育つとのこと。昔からモトブンの人々はこの里を大切にしてきたそうです。そしてこの町のもうひとつの自慢は霧の絶景。翌朝絶景ポイントへ行くと霧に浮かぶモトブンの丘が。それは白い海に浮かぶ小さな島のよう。ここが天空の町と言われるわけが、わかった気がしました。豊かな自然を守るモトブン。時が止まったようなその町は、霧にくるまれて、ひととき、昔の夢にまどろんでいるようです。それはなんだかとても幸せな風景に見えました。

モラヴィアの大草原(チェコ)

続いてはチェコのモラヴィア地方。世界中の写真家に愛される金色の大草原がありました。やってきたのはチェコ南東部、モラヴィア地方のキヨフ。この町で暮らすカメラマンを訪ね、お気に入りの風景が見える場所へ連れってくれました。そこには2種類の緑色の麦畑が一面に広がり、濃淡のコントラストを生み出していました。風が出てくるとまた麦畑の表情が一気に変わります。麦畑がこんなに美しいなんて、知りませんでした。そして、夕暮れになると昼間とはずいぶん色が違います。金色の光が、麦畑に表情を与え草原が立体的に浮き上がっているように見えました。人がつくり上げた実りの風景に写真家たちが見出した、絵画のような美しさ。世界に愛される風景に出会うことができました。

アルプスの名峰 マッターホルン(スイス)

最後はスイス。アルプスの名峰、マッターホルン。そこには一度は見たい2つの絶景がありました。スイスのリゾート地を結ぶ、人気の山岳鉄道・氷河特急にのってめざすはツェルマットです。大きな窓からはアルプスの山並みや湖など次々と絶景が現れます。ツェルマットで聞いたおすすめの絶景ポイントは水面に映る逆さマッターホルン。リッフェル湖という湖へやってくると、ちょうどマッターホルンが映る場所だけ、湖の氷がとけて見ることできるラッキーな体験ができました。そしてマッターホルンを空から眺めるために、山の飛行場へ。ヘリで飛び立った先には標高約4000メートル、まさに人を寄せ付けない大自然が広がっていました。そしてマッターホルンはごつごつした黒い岩肌で孤高の巨人といった立ち姿。そしてついにマッターホルンの頂、標高4478メートルに空から大接近。世界中の旅人が憧れるマッターホルン。その周囲には天空からしか見ることのできない壮大なパノラマが広がっていました。