「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#274 青きアラスカ大氷河群(アメリカ) 2015/9/18 O.A.

旅の始まりは、アラスカ最大の都市・アンカレジです。まずは観光案内所で情報収集。アラスカならではの絶景が見られるという、プリンス・ウィリアム湾のクルーズを薦められました。聞けば、青い氷河が崩れ落ちる迫力の光景が間近で見られるんだとか。クルーズに参加する前に、まずはアンカレジで美しい風景が見られるという、人気のフォトツアーを紹介してもらいました。ツアーの案内役はカメラマンのジョディさん。彼女一押しのビュースポットは、夕暮れのアンカレッジの街が一望できる丘。日没後、街が青く染まる“ブルーアワー”と呼ばれる瞬間が一番好きなのだそうです。黄金色の夕日に空が美しく染まった後、寒さをこらえてしばらく待っていると、透き通った青が町を包み込み始めました。この青色は、氷河の青と同じ色なんだとか。壮大な自然の中に抱かれる都市が美しく彩られる瞬間に、心のシャッターを切りました。

翌日、ジョディさんの運転で、アンカレジから一路南へ1時間。北米最長の長さを誇るトンネルを抜けると、プリンス・ウィリアム湾に面した小さな町・ウィッティアに到着しました。船長のマークさんは、この湾を20年以上航海するベテラン。小型船に乗り込み、氷河クルーズが始まります。出航してからしばらく経つと、早速、クジラの親子、イシイルカの群れ、可愛らしいラッコたちが出迎えてくれました。大自然の真ん中にいることに感動。そして、船長の勧めで、湾内の岸でカヤックに乗り換え、氷河が海に注ぐ場所まで向かうことに。小型船とは違い、カヤックを漕いでいると、海の上を漂う感覚を味わうことができます。氷河から流れ落ちた氷が、手で触れられる距離まで近づきます。ガイドさん曰く、中には1万年も前に凍った氷もあるんだとか。耳を澄ますと、氷から解け出た空気がパチパチと弾ける音がしています。まるで、失われた時間の中を旅しているような、不思議な体験になりました。

そして、氷の崩落が一番頻繁に起きるという、サプライズ氷河へ。目の前にそびえ立つ、青い氷の絶壁。内陸で降り積もった雪が圧縮され、数千年の時をかけて、海に流れ着いた氷河なのだそうです。暫くすると、船長さんが船のエンジンを切りました。氷河が崩落する時に響き渡る雷のような音を体感する為です。いよいよ、その瞬間が訪れました。大きな氷の塊が壁から剥がれ落ちるように、海へと大崩落。割れるような轟音が、静寂の海に響き渡りました。その後も、氷の塊が次々と海へと落ちてゆきます。太古の記憶を閉じ込めた青き氷が、儚くも美しく崩れゆくその瞬間を目の当たりにした、特別な旅になりました。