「地球絶景紀行」世界にたった1つの絶景を探す、大人の紀行ドキュメンタリー

毎週水曜日よる9時オンエア

地球は絶景の美術館。世界にたった1つの絶景旅行ガイドをあなたに。2泊3日で行く、夢の旅にご案内いたします。(旅人:森高千里)

#110 原始の森の島タスマニア(オーストラリア) 2012/6/15 O.A.

ワインの名産地テイマー・バレー

旅のふりだしは、オーストラリア南部の沿岸都市メルボルン。その港から豪華客船スピリット・オブ・タスマニア号に乗船し、タスマニア島を目指します。はるか450キロ彼方のバス海峡を渡った先、タスマニア北部が今回の舞台です。メルボルンからおよそ9時間の船旅は、まるでホテルのように快適でした。 タスマニア島に到着してまず向かったのは北部最大の町ロンセストン。街を散策中、ワイナリーを経営しているご婦人に出会い、彼女のワイン農場へ連れて行ってもらうことになりました。テイマー川沿いに広がるテイマー・バレーはオーストラリア有数のワイン産地。収穫を終えたブドウ畑は、黄色の絨毯を敷き詰めたように紅葉していました。まさに、実りの季節の絶景です。

タスマニアの名峰クレイドル山

自然の宝庫タスマニア。中でも、世界中からトレッキング客が押し寄せる人気のエリアがセントクレア湖国立公園です。園内には、タスマニアの大自然を象徴するクレイドル山(1545m)が聳えています。心を弾ませ、クレイドル山の麓へ向かいます。ところが、山に近づくにつれてだんだんと雲行きが怪しくなってきました。この付近は天侯の移り変わりが激しいことでも有名なのだそうです。ようやく絶景ポイントに到着しましたが、肝心のクレイドル山が雲に隠れてしまい、その姿を拝むことができません。公園のガイドさんの助言もあり、天気の回復をしばらく待つことにしました。それから小一時間・・・。なんと山を覆っていた雲がみるみる流れていくではありませんか。氷河で削られてできたという荒々しく尖った山頂。中腹がえぐり取られたような独特な山体。ついにクレイドル山が目前に姿を現したのです。

冷帯雨林の深い森

旅の最後は、蒸気機関車に4時間ゆられて小さな港町ストローンにやってきました。この町では木工製品を作る職人さんの勧めで、タスマニア固有の樹木「ヒューオンパイン」が茂る森を見に行くことになりました。さっそく水上飛行機に乗り、上空から森にアプローチします。空から見下ろす冷熱雨林の森。そこには深い緑の世界がどこまでも広がっています。しばらくすると飛行機は森を流れるゴードン川に着水しました。ここからは徒歩で森の中を進みます。30分ほど歩くと、茂みの奥から、轟々と水しぶきの音が聞こえてきました。すると突如、紅茶色の滝が現れました。紅茶色に見えるのは植物の成分、タンニンが染出ているからなのだそうです。その滝壺の傍にひっそりとヒューオンパインは立っていました。帰り際、再び上空に飛び立つと、眼下の川面がまるで鏡のように空と森を写し、幻の世界が水面に広がっているかのようでした。