コラム
第8回
オーストラリアに勝利した日本が決勝進出。4連覇に王手を掛ける!

 「相手のディフェンスのせいではなく、シュートが入らなかっただけでした」

 世界ランキング3位のオーストラリアとの対戦となった準決勝。トム・ホーバスヘッドコーチがこう振り返ったように、第1Qは先制点こそ#13町田瑠唯のドライブで先制点こそ日本が奪ったものの、その後は#9ベック・アレン、#4ジェナ・オヘアらにシュートを決められると、逆に日本は放つシュートがことごとくリングを弾いてしまう。そのまま15-23と、第1Qはビハインドを負ってを終えることとなった。

 それでも、「日本のディフェンスが効いた」(ホーバスヘッドコーチ)という第2Qは、激しいディフェンスから相手のシュートミスを誘うと、攻めては#14本川紗奈生のドライブ、#27林咲希の3Pシュートで追い上げ。終盤にはこの試合22得点の#15本橋菜子が3Pシュート、ドライブからのバスケットカウントと大暴れし、逆転に成功。7点のリードを奪って前半を折り返した。

 「ハーフタイムでは、『前半は日本のバスケットが全然できていなかったけれど7点のリードをしていたので、このまま最後まで行こう』と言って送り出しました。そこからみんな自信を持ってプレーをしてくれました」という指揮官の言葉通り、後半出だしに#52宮澤夕貴が幸先良く3Pシュートを決めると、本橋も追随。一時は11点と2桁のリードを奪う。しかし、相手は昨年の女子ワールドカップ準優勝チームのオーストラリア。タイムアウト明け、高さを生かしたプレーで確実に得点を奪うと、日本のミスを逃さず、スティールからの速攻を決めるなど、約1分半の間でビハインドを4点に詰める。この苦しい場面で日本は本川、町田がしっかりとドライブからのシュートを決めたものの、リードは僅か4点のまま、第4Qへと突入した。

 その第4Q、日本は宮澤の3Pシュートがさく裂。「前半は(予選ラウンドの)韓国戦のようにシュートが入らなかったのですが、後半は自分を信じて、仲間を信じてシュートを打ったことでしっかり決めることができました」というように、このQだけで3本の3Pシュートを沈めオーストラリアを突き放す。勢いに乗った日本は#10渡嘉敷来夢、#88赤穂ひまわりのドライブも効果的に決まり、ディフェンスでも40分間集中を切らさず。最後は76-64で勝利し、決勝進出を決めた。

 「フィジカルで負けないこと、1対1で負けないこと。中国はタイトなディフェンスをしてくるので、そこで一人ひとりが逃げないで立ち向かって行き、きちんと自分のシュートを打つことがカギになるのではないかと思います」と決勝に向けて抱負を語ったのは勝利の立役者である宮澤。さらにオーストラリア戦では10得点のみならず、数字に見えないディフェンスでも貢献した渡嘉敷は、「(2mを超える)中国のセンター陣をしっかりと攻略して、準決勝のようなディフェンスでチームに貢献したいです」と語った。

 決勝で対戦する中国は、日本が夏に遠征に行った際に対戦した相手。そこで日本は完敗を喫しただけに、決勝はリベンジの舞台ともなる。遠征では日本が得意とするトランジションの速いバスケットを中国にやられてしまった経緯があるだけに、「トランジションの速いバスケットでは絶対に負けたくないです」と、準決勝ではチーム最多22得点を挙げた本橋も、気持ちを引き締め直していた。

【写真】fiba.com