Q.溺水時の条件による違いは?
海水の場合、海水が肺胞に入ってしまうと、体の中の水分が塩気の多いほうに向かっていきます。一方、淡水の場合は、水が肺胞から肺臓の中にしみこんでいきます。いずれにしてもガス交換ができず、酸素がカラダに回らなくなります。
また、冷たい水で溺れた場合、お風呂の中で溺れる場合でも違いが出ます。冷たい水のほうが、また大人よりも子供の方が助かりやすいといわれています。体温が下がると生命維持のため、心拍数を下げ、末梢血管を収縮させるなど、血液を脳などの重要臓器により多く送ろうとします。この状態は子供の方が顕著に見られます。
Q.溺水時に起こりえる状態とは?
肺は体の中に酸素を取り入れ、炭酸ガスを外に出します。溺れてしまうことでカラダに酸素が回らなくなります。そして血液の中の酸素濃度が低下し低酸素血症となり、機能を全うしている臓器、脳や心臓が侵されてしまいます。中でも低酸素による脳障害を低酸素脳症と言います。
Q.低酸素脳症の症状は?
脳細胞は人間の体の中で最も低酸素に弱い細胞です。低酸素脳症が長く続くと、不可逆的に脳細胞が障害され、植物状態や脳死になる場合も。
Q.治療法は?
低体温療法(体温を下げることで、代謝機能を低下させ、脳などの障害の進行を抑制する)や高気圧酸素療法(高圧容器の中で高濃度の酸素を患者に供給する)などがありますが、決定的な療法はなく、体温を下げて脳の蘇生を期待する脳蘇生が一般的です。
Q.後遺症は?
リハビリ後に社会復帰しても、電話の取次ぎがうまくできない、物忘れしやすい、二つ以上のことを考えられないなどの遂行機能障害が出る場合があります。生死にかかわるケースからこのようなケースまで色々あるのです。
Q.心配蘇生の役割は?
脳は酸素とブドウ糖で動いています。心肺蘇生は必要な酸素、ブドウ糖を送り込める非常に大きな役割を果たします。
Q.ドラマに登場したBLS(Basic Life Support)とは?
救急隊到着前に器具や医薬品を用いずに行う一時救命処置。
早い時点からこれがされたか、されなかったかによって予後が決定的に違ってきます。
【手順】
- 意識状態の確認
- 119番・救急隊への通報
- 気道の確保
- 呼吸の確認
- 呼吸をしていなければ人工呼吸
- 頚動脈などで循環サインの確認
- 心臓マッサージ
※BLS講習は、各自治体や消防署などで開催されている
例えば心肺停止し、わずか5、6分間放置しただけで障害を負ってしまう脳も、心肺蘇生をすれば助かる可能性があります。自分の目の前で大切な家族が溺れた時の事を考えて、是非BLSを勉強してほしいです。
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