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スペーサ タイトル   #10 2008年1月20日放送
 
「オールド・ロケット・ボーイ」

製薬会社に勤める総務課課長、井川良雄(52)のもとに、部下の相沢加奈(24)が社内コンペの募集要項を修正して持ってきた。チェックを受けた加奈は突然会社を辞めたいと言い出す。マンネリ化した仕事をこなす職場が嫌になったらしい。加奈が渡した書類は修正前のもので、良雄が気づかなければ会社を辞めようと思っていたのだ。
家に帰った良雄は、楽しみにしていた天体望遠鏡のカタログがないことに気づく。妻の由美(48)が捨ててしまったのだった。宇宙飛行士にあこがれていた良雄は、星に強いこだわりがあった。部屋に戻り、ポケットにあった社内コンペの募集要項を見た良雄は、社内コンペに参加する決心を固める。
以前、企画開発部にいた良雄は、昔を思い出しながら自分で企画した「ロケットまんじゅう」の内定に向け準備を進める。そんな姿をみた加奈は、総務課で一人、積極的にサポート。良雄は、家に帰っても商品化に向け試行錯誤を続けた。その頑張りが報われ、企画は内定するのだが、専務からロケットとは違うものにしてくれと頼まれてしまう。憔悴した良雄を加奈は励ますが、そのうち右手が震え、椅子に倒れこんでしまう。
救急車で病院に運ばれ、CT検査したところ、脳に異常が見つからなかった。しかし大きな病院へ移送するとドクターが診断。超急性期の脳梗塞の場合、CTでは異常を発見できず、もっと大きな梗塞を招く可能性があるという。適切な治療法を行うには3時間以内が絶対条件でかなり危険が伴う。インフォームドコンセントが必要だが、妻の由美に連絡が取れなくて・・・。

写真#10

小さい頃からの夢を持ち続け、その夢を現実にしようとする男性の物語です。今回は突然やってくる脳梗塞と、処置までの一刻を争う戦いの物語です。超急性期の脳梗塞の対処法とは?そしてrtPA静注療法(血栓溶解療法)とは? ドラマを通して解説します。


スペーサ
 
今日のポイント

Q.脳梗塞とは?
脳の血管がつまり、脳に血液がいかなくなることで酸素の供給ができず、脳の機能が傷害され、意識障害、知覚麻痺、運動麻痺が起こります。

Q.要因は?
大きく2つあります。
■脳血栓
動脈硬化により脳の血管が細くなり、血液が詰まって起きる脳梗塞
■脳塞栓
心臓などでできた血栓が動脈を伝わり、脳血管に詰まって起きる脳梗塞

Q.兆候は?
最初は血栓がつまりだし、血流が弱くなると眩暈がしたり、意識が混濁したり、言語障害が起こったりします。また、どちら側の脳が障害を負うかで、体の片側の麻痺がでます。

Q.治療法は?
昔は根本的な治療法がなく、酸素投与などにより、残った正常な脳組織を保護する事ぐらいしかできませんでした。しかし、詰まった血栓そのものを溶かすという画期的な治療法ができました。rt−PA静注療法です。rt−PA(リコミナント・ティッシュ・プラスミノーゲン・アクチベータ)は血管に詰まった血栓(血の塊)を溶かす薬剤です。ただ、どの患者さんにも行えるという治療ではなく、発症から3時間以内での処置が必要で、時間との勝負となります。また、かえって状態を悪くする可能性もあるため、治療には専門的知識が必要とされます。

Q.rt−PAの2つの大きな問題?
■血管が詰まったままだと脳が傷害されて軟化します。時間が経過してしまうと脳細胞が死んで機能しなくなり、いくら血栓を溶かしても回復しません
■時間が経過すると梗塞部位の血管自体も弱くなってきます。その弱くなったところに血流が戻れば、弱った血管に穴があき、脳出血を起こしてしまう可能性があります。

Q.完全回復する可能性は?
およそ10%は適切に処置すれば回復する可能性があります。症状には色々な段階があり、治療が遅れた場合、また梗塞が大きい場合は致命的なダメージを負ってしまいます。血管の根元で詰まると、広い部分の脳がダメージを負ってしまうので生命の危機、また言語障害や運動麻痺などを引きおこします。色々なレベルの後遺症がありますが、リハビリをすることによって、かなり回復するのであきらめてはいけません。

Q.発症しないための予防法は?
長期的な予防としてコレステロールや血圧の値を正常に保ち、動脈硬化を進行させない事が大切です。健康診断を定期的に受け、異常を指摘された場合は早めに医師の診察を受け、服薬や生活習慣改善の指示に従いましょう。



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