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スペーサ タイトル   #8 2008年1月6日放送
 
「ふたりぼっち」

スーパーで買い物をする細川千代(70)と田中カツ子(65)が、カレーの具を鶏肉にするか、牛肉にするかでもめている。家に着いても、今度は隠し味に醤油を入れるか、ソースを入れるかでもめるのだが、実は二人は仲が良く、千代のマンションにカツ子がやってきてから10年を迎えようとしている。ともに夫を亡くしていた。
そんなある日、カツ子の息子、和幸(35)がマンションにやってきた。同居をすすめるのだが、カツ子は言うことを聞かず、また千代も一人になるのは寂しいので気乗りしなかった。後日、改めて説得にやってきた和幸だが、カツ子は不在だった。「私が千代さんのソバにいなきゃダメなの」など、カツ子が色々な理由をつけて出たがらないことを千代に伝える。話を聞いた千代は10年目となる3月25日に、この生活を終わりにしようと決意する。二人で過ごす最後の日は花見となった。桜の花が満開になる中で、思い出話にふける二人…そんな時にカツ子が眠るように倒れてしまい…。

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今回のテーマはクモ膜下出血。突然襲い掛かるこの恐ろしい病気の処置法やドラマのようなケースの対応などを解説していきます。


スペーサ
 
今日のポイント

Q.クモ膜下出血とは?
突然の後頭部の頭痛から発症することが多い。通常の頭痛、二日酔いの頭の痛みとは違い、頭が割れるような激しい痛みです。嘔吐、胸がムカムカする患者さんもいます。
しかし出血量が少ない場合は頭痛もすぐに消失し、吐気も伴わないので注意が必要です。

Q.クモ膜下出血の原因は?
クモ膜下出血の8割は脳動脈瘤(脳内の動脈壁にできたこぶ)の破裂が原因といわれています。脳に動脈瘤ができても破裂せずに一生を送る方もいますが、破裂すると重症の場合、激しい頭痛と共に意識を失い、最悪のケースでは呼吸が停止してしまいます。またクモ膜下腔内に広がった出血が脳を圧迫、重篤な症状を引き起こします。

Q。クモ膜下出血の手術は?
日本で一般的に行われているのがネッククリッピング(全身麻酔をかけ開頭し、脳動脈瘤の根元を特殊な金属のクリップで挟み、出血を防ぐ手術)ですが、場合によっては開頭手術を行わず、コイル塞栓術(血管内にカテーテルを挿入し脳動脈瘤の内部に細いコイルを詰めて塞ぐ手術)で出血を防ぎます。色々な状況によって治療の選択をします。

Q.再破裂の可能性は?
クモ膜下出血は手術前後も合併症や動脈瘤の再破裂の可能性が高く、死因や後遺症の大きな原因になります。血圧が高くなったり、興奮して動きが大きくなったりすると破裂しやすくなります。約20%の確率で6時間以内に同じところが破裂する可能性があります。

Q.合併症について?
出血が止まったとしても、クモ膜下腔内に残存した血液による作用で、脳の血管れん縮(血管が縮み、血流が妨げられる)が起こる危険があります。血管が細くなってしまうため、脳に酸素が届かなくなり、梗塞を起こしてしまうなど、色々な事が起きます。2週間は十分注意しなければなりません。

Q.危険因子は?
血圧の高い人、タバコを吸う人、興奮しすぎる人は危険性が高くなります。特に血圧は厳重な管理が必要です。毎年2万人ほどが、動脈瘤破裂によるクモ幕下出血になっている統計があります。

Q 予防は?
高血圧の方は塩分を控えたり、体重を落とす、適度な運動をするなど、生活習慣の改善を図り、服薬を含めて医師の指示に従い、血圧を正常な値にコントロールしてください。
また、クモ膜下出血は大きな出血の前に小さな出血がある場合も多いので、今までに感じた事の無いような頭痛を感じた場合はすぐに病院を受診して下さい。特に高齢者の一人住まいの方が近くにいる場合、周りの人、近所の方がいたわりの気持ちを持って確認してください。

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