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  #6 2007年12月16日放送
 
LIFE FOR OTHERS〜誰かのために〜

心室頻拍で倒れた日下部雅夫(48)は、心臓を気にかけながら職場に復帰していた。そんなある日、妻が海外旅行中のため、部下の中川博之(31)を誘って飲みに行くことにする。その席には同僚の三村綾香(27)も同席。中川は彼女と結婚すると報告し、日下部に仲人を頼む。困惑する日下部だが、二人を心から祝福し、喜んだ。中川のまじめな姿にひかれたという綾香だが、がんばりすぎる性格を心配しているらしい。
店を出た後、日下部は二人に「カミさんより長生きすること、死を看取ってやることが自分の役目だ。弱いところはお互い見せたほうがいい」と、以前では考えられないようなアドバイスを送る。すると、日下部は胸を押さえ苦しみだす。綾香は救急車を手配し、中川は日下部の娘、由佳(20)に連絡をする。心室頻拍が再発したのだ。再発防止のため、ICD(植込み型除細動器)の埋め込みを提案された日下部だが、何かに頼らなければ生きていけない自分を不甲斐なく思い・・・。

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誰かに支えられて生きる喜びを知り、誰かのために生きる喜びを知る・・・第一話で心室頻拍により倒れた主人公の日下部は、自分の考え方を変える機会を得ました。今回のテーマは「心室頻拍の再発」。心室頻拍が再発した場合の応急処置や再発の防止を防ぐICD(植込み型除細動器)の埋め込みとその後の日常生活などを解説します。


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今日のポイント

Q.心室頻拍の危険性は?
心臓全体が震える状態=心室細動(心停止と同じ状態)になりやすい。

Q.再発の可能性は?
約80%の確率で再発しやすく、個々により原因は様々です。

Q.治療法は?
通常は薬を投与し、軽い症状なら治ります。重度の場合は、薬を使った後、直流除細動器を使います。一番確実で安全な治療法です。

Q.ICD(植込み式除細動器)の役割とは?
心室頻拍が再々発した場合、生存できる可能性はおよそ5%といわれています。そこでICDを埋め込むことで、心室頻拍を瞬時に感知し、直流通電をすることにより心室頻拍を正常な拍動に戻します。

Q.ICDの手術は?
右利きの方は、左の鎖骨の下にポケットを作って埋め込み、静脈内に通して心臓までもっていき、右心室の先固定します。局所麻酔で手術しますので、体への負担も小さくすみます。機械にもよりますが、220、30回の除細動ができ、何もない場合は、3.4年に一回は電池寿命のため、機械の部分を取り替えます。

  • 埋め込み費用は?
    機械自体はアメリカ製で2万ドルです。日本では高額医療に対して健康保険が適用されるので、患者さんの負担が軽減されます。
  • 術後の注意点は?
    ICDの電極は血管内にあるので、そのままでは電極の周囲に血液の塊(血栓)が付着してしまいます。それがはがれて体内に回ってしまえば、血管がつまり、脳梗塞などになる場合があります。ICDを入れたがために、血液の塊で血栓症を招く可能性があるので、抗血小板薬、抗凝固薬を必ず服薬していただきます。
  • ICDの現状は?
    ICDの埋め込みにより、身体障害者 1級に認定されます。現在、日本ではおよそ1万人の人たちが埋め込み手術を受けています。
  • 最新のICDは?
    小型になり、心室細動、頻拍をとめるだけでなく、心臓が動かなくなったときにペースメーカーの機能を併せ持ちます。また、心室頻拍である頻拍とそうでない頻拍を読み分ける精度が増し、より安全になっています


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