Q.肝損傷とは?
肝臓に強い力が加わり、肝臓が傷つく事で、急性期には肝臓からの出血が一番の問題になります。ナイフや銃弾による鋭的外傷による事もありますが、ほとんどは打撲などの鈍的外傷により起こります。肝臓が割れてしまう重症から、表面が傷ついてしまう軽症まで状態は様々です。
・I型 肝皮膜下損傷
肝臓表面の膜を破らない損傷
・II型 表在性損傷
皮膜が破れ、肝臓の深さ3cm以内の損傷
・III型 深在性損傷
肝臓の深さ3cm以上の深部に達する損傷
鈍的外傷による場合は傷口から出血するなど分かりやすい状況がないため、子供の場合はそばにいる大人の観察が特に重要となります。
Q.治療法は?
以前はショック状態になるまでわからず、緊急手術になる事もありましたが、近年、超音波やCTなど画像機器が発達し、早期に発見できるようになったため、画像診断で経過を観察して手術せずに済むことも多くなりました。いずれにしても入院の上、厳重な観察が必要で、肝臓からの出血がとまらない、また血圧が安定しない場合などは、開腹して出血を止めます。また肝臓内の血管にカテーテルを通し、塞栓物質で出血を止める処置をすることもあります。
Q.対処法は?
動いたりすると損傷がより重篤になることがあるので、楽な体位で寝かしましょう。むやみに動かすことは避けてください。
子供は自分の症状をうまく表現できないので、ご家族が普段と違う様子(冷や汗、あくびなど)を注意深く見てください。
Q.小児外傷の特徴
子供は大人に比べて重心が高い位置にあるため転倒しやすく、頭をぶつけたり、ケガをしやすい。それに加え、子供は目的に対して一直線に行動するため、事故にあいやすいと言えます。
Q.小児外科・外科の違い
子供と大人は臓器の作り方をはじめ、大きな違いがあります。小児の急病は早く回復したり、悪くなったりするので、処置が遅れることがないよう、常に先手を打つことが必要となります。
Q.事故を未然に防ぐには?
大人と子供の目線が違います。子供たちの目の高さでうちの中を歩いてみることが必要です。机の角、ちゃぶ台の小さな出っ張りなど、子供への脅威となっているところを把握して下さい。最近はこれを予防救急と呼んでいます。
Q.小児救急のシステムとは?
初期救急=入院を必要としない軽症者
二次救急=入院や手術を必要とする救急・重症患者
三次救急=生命の危機が切迫している重篤患者
上記の3つの状態に分けられます。トリアージ(緊急度や重症度に応じて処置や搬送を行うために治療優先順位を決定)し、適切な処置が行うことができる搬送先を決定します。
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