Q.中心性脊髄損傷とは?
脊髄は脳からの運動の指令を手足に伝えたり、手足からの感覚信号を脳に伝えたりするための背骨の中を走る太いケーブルです。そのケーブルの中心部だけが損傷した状態で、首などが極端に押し曲げられた時に圧迫されるなどして起こります。首の辺りで中心性脊髄損傷になった場合、足の動きは比較的保たれる一方、手の動きや感覚が悪くなります。感覚の中でも触った感覚(触覚)は保たれますが、熱い、冷たいといった温度に関する感覚と痛みに対する感覚(温痛覚)は脊髄の中心部を通るため障害されてしまいます。すなわち「やかんに触ったのはわかるが熱くない」「針を刺したのはわかるが痛くない」という状態になってしまいます。
Q.治療法は?
脊髄が圧迫されるような大きな血の塊が周囲にある場合は手術が必要になりますがが、一般的な場合は薬物治療を行います。完治の可能性がある場合、副作用の強い薬も使うことがあります。
Q.早めの対処で完治するか?
脊髄が断裂したような脊髄損傷と異なり、中心性脊髄損傷は完治する可能性もありますが年齢によります。
Q.後遺症は?
麻痺や感覚障害が残る場合があります。特に感覚障害は「けが」や「やけど」をしても本人が気付かない事もあるので、周りの方の充分な注意が必要です。
Q.メンタルケアは?
脊髄損傷は交通事故などの外傷が原因で起こる事が多いので、一家の大黒柱である人や 結婚前の若い人の場合もあります。そのような活発に社会生活を送っている方が、脳は全く正常にもかかわらず、手足の自由が効かなくなり、その障害が一生涯続くようなことになれば、その苦痛は耐え難いものがあると思います。医療従事者のみならず家族や周囲の方々によるメンタルケアが大切なことは言うまでもありません。
Q.今回のケースのように脊髄を痛めている場合の応急処置
ログロール法(頭と体を一本の丸太のように保持し、担架などに移す時に用いる方法)で扱ってください。救急隊も患者を一本の棒を扱うように行っています。身体が曲がっている場合は伸ばしてください。
意識がある場合は手がしびれたり、手足が動きにくかったり、首が痛いという症状があります。安全確保が保てない(その場にいると二次災害の恐れがある)場合以外は動かさないこと、極力頚部を固定して運ぶことが大切です。
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