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  #1 2007年11月11日放送
 
「過ぎ去りし時間(とき)〜突然の心室頻拍」

疲れきった様子の証券マンの日下部雅夫(48)。タクシーでの帰宅中、会社からシステムトラブルの連絡が入る。至急会社に戻ることになり、帰宅は深夜になってしまう。
帰宅すると、雅夫を待っていた妻、晴美(46)がいた。部屋には晴美と娘の由佳の荷物がなくなっている。仕事ばかりで家庭を顧みなかった雅夫に愛想をつかした晴美は、離婚に踏み切ったのだった。出て行く妻を複雑な心境で見送った雅夫は、娘から送られた手紙やカードを懐かしんでした。そんな中、先ほどのトラブルの復旧を確認するため同僚に連絡するのだが、電話を切った後、突然胸を押さえて倒れてしまう。管理人に連絡を取った雅夫は、AED処置され、マンションに向かう救急車に気づいた晴美とともに搬送された。
病院での診断によると心室頻拍の可能性があるらしい。救急救命処置が始まった・・・。

今回のテーマは心室頻拍。心臓発作に襲われた誰もが助かるわけではありません。発症に至るまでの日々、そして発症の瞬間からのプラチナタイムこそが自分自身と家族の生か死に大きく影響します。搬送時によくある状態や治療、そして実際に担当した医師のインタビューを交えて、発症から救急救命治療までをリアルに再現します。


 
今日のポイント

Q.心室頻拍とは?
心臓の筋肉に異常な興奮が起こり、心臓が「けいれん」したような状態になる事です。
多くは心筋梗塞などの病気が原因で起こりますが、原因不明のものもあります。
心室頻拍が起きると血圧が下がり、血液を充分に送れずにショックに陥ります。意識を失う事も多く、処置が遅れるとより重篤な心室細動となり、心臓としての機能が停止し、死に至る危険の高い恐ろしい不整脈です。

Q.処置は?
一刻も早くAEDなどによる電気的除細動(電気ショック)を行う必要があります。
心筋梗塞などの心臓病が原因で心室頻拍を起こした場合は原因疾患の緊急な治療も必要になります。
治療にもかかわらず、心室頻拍を繰り返す場合は、カテーテルを用いて高周波電流により心筋の一部を焼いて異常な興奮を根治するカテーテルアブレーションや、心室頻拍が起こったときに自動的に電気ショックを行うICD(植込み型除細動器)の植込みを検討します。

Q.予兆は?
動悸や脈の乱れを感じたり、意識がもうろうとなったり、めまいを起こしたりします。
突然、目の前が白くなり、一時的に意識を消失する事もあります。

Q.心室頻拍生命の危険度は?
除細動が1分遅れるごとに10%ずつ生存率が低くなるといわれているだけに、最初に適切な処置をすることがカギとなります。

Q.命が助かった要因は?
現在ではAED(自動体外式除細動器)の活用が大きなポイントとなります。AEDは突然心停止状態に陥った時、心臓に電気ショックを与えて正常な状態に戻す医療機器で、現在は公共施設への設置が進んでおり、平成16年7月から一般の方でも使用できるようになりました。

Q.救急車がくるまでにできることは?
誰かが意識を無くして倒れ、呼吸も無く、体も動かさないようならすぐに人工呼吸、心臓マッサージなどの蘇生処置が必要です。救急車が来るまでの時間は6分間と言われています。先ほども言ったように心室頻拍のままで、この6分間に除細動ができなかった場合、生存率は100−60=40%です。一刻も早い除細動が必要ですので、近くにいる人にAEDが必要な旨を告げ、探してもらいましょう。公共施設へのAED設置の更なる普及が待たれます。

Q.予防は?
動悸や脈の乱れを感じる方、心筋梗塞、狭心症など心臓の病気を持っている方・・・病院で定期的に不整脈の有無を調べてもらいましょう。


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