新・地球絶景紀行
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#11 フランス 奇岩の聖地 巡礼の旅
2019年12月25日放送

人類の祖先が描いたアート
旅の出発点は、ボルドー。
ラスコーをへて、オーヴェルニュ地方の火山地帯まで旅します。
ボルドーではワイン協会が営むバーへ。
通常の3分の1程度の価格で、様々な銘柄のグラスワインを楽しむことができました。
次に向かったのは、ヴェゼール渓谷。
石灰岩の断崖から、先史時代の遺跡が数多く見つかり、世界遺産にもなっています。
その代表が、ラスコーの洞窟壁画。
実物は、保存のため一般公開されていませんが2万年前のクロマニョン人によって描かれた2000以上の壁画を完全に再現した展示を見ることができました。
人類の祖先が神聖な場所に捧げた、聖なるアート。
祖先の思いやパワーが迫ってくるようで、なんだか胸が熱くなりました。
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一大火山地帯・オーヴェルニュ
ラスコーから、車で4時間、オーヴェルニュ地方の中心都市、クレルモン・フェランへ。このあたりは、80を超える火山が連なる一大火山地帯。
大聖堂をはじめ、街のあちこちに、黒い溶岩で作られた建物があります。
火山が生む温泉も豊富で、古代ローマ時代から温泉保養地として栄えてきました。
まずは火山群の最高峰、ピュイ・ド・ドームへ。
頂上近くまで鉄道で登ります。展望台からは360度の大パノラマ、ぼこぼことした火山だらけの景色を見ることができました。
この地方の名産は、サン・ネクテールチーズ。火山灰によるミネラルたっぷりの土壌で、豊かな牧草が育ち、質の高い生乳が生まれおいしいチーズが誕生します。街で出会ったのは、チーズの熟成だけを専門に行う“チーズ熟成家”のギョームさん。
溶岩を削って作った地下の熟成庫(=カーブ)を案内してもらいました。
チーズの熟成に欠かせないという“カビ”を、祖父の代から約100年も、守り続けてきたそうです。
チーズ1つ1つの個性を伸ばして最高の状態に仕上げる奥深い仕事を目の当たりにすることができました。
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火山が生んだ奇岩の聖地 ル・ピュイ・アン・ヴレ
クレルモン・フェランから車で2時間の街、ル・ピュイ・アン・ヴレへ。
ここはキリスト教の世界的な聖地、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラへと続く巡礼の道の出発地。
街には2つ大きな溶岩が突き出し、岩の上にはそれぞれ、赤い聖母マリア像と礼拝堂が建てられています。
巡礼者が出発するのは、12世紀に建てられた歴史ある大聖堂から。
キリストに従った12使徒の一人、聖ヤコブの遺骸が祀られているスペイン・サンティアゴ大聖堂まで1522キロを歩いて旅します。

出発点の大聖堂には、『熱の石』と呼ばれる溶岩でできた黒い石があり、4世紀頃、病を患った老女がこの石に横たわると、聖母マリアが出現し病気が治ったと伝わっています。その後、神聖な場所として知れ渡り、やがて巡礼の出発地となったそうです。
旅人たちは、大聖堂で行われる早朝のミサに参列後、巡礼の道へと続く地下の扉から出発します。
この日は、オランダやイギリス、フランスなどから集まった15人が旅立って行きました。
火山が生んだ奇岩の地に、いつしか聖堂が建ち、巡礼者が集うようになりました。ここは、地球の営みと、人の祈りが溶け合う美しい世界でした。
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