THEナンバー2

毎週木曜よる10時オンエア

綺羅星の如く、日本史を彩る名将たち。 私たちがよく知る歴史の表舞台、 その陰には常に「ナンバー2」の存在がありました。いわばそれはもうひとつの「歴史物語」。

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大石内蔵助

ゲスト: 加藤廣

「おのおの方、討ち入りでござる」江戸の昔から日本人に親しまれてきた「仮名手本忠臣蔵」。討ち入りはあまりにも有名ですが、なぜ浅野内匠頭は吉良上野介を斬りつけたのでしょうか。実は赤穂藩のナンバー2内蔵助を知れば、300年の時を越えて忠臣蔵最大の謎が解けるのです。今回は内匠頭のナンバー2大石内蔵助と共に歴史の謎に迫ります。

事件の発端・・・そこに隠された謎

江戸城内で刃傷事件が起こります。浅野内匠頭が突如吉良上野介に「此間の遺恨覚えたるか!」と叫びながら突然小さ刀で斬りかかったのです。この報せを受けた大石内蔵助は愕然とする。内匠頭はなぜ無謀な行為に及んだのか・・・しかしその謎もわからないまま、内匠頭は将軍綱吉の怒りをかい即日切腹されお家取り潰しという処分がくだされてしまうのです。この異例の事態、そして内匠頭が言い放った「此間の遺恨覚えたるか!」の遺恨とは何か、昼行灯と呼ばれ、いても気がつかない役に立たない存在だった大石内蔵助が内匠頭のナンバー2としてその謎に挑み始めた時、江戸時代最高のナンバー2として歴史の幕が上がるのです。

柳沢吉保の陰謀

吉保は将軍綱吉からある使命を任されていました。「桂一計画」。それは綱吉の母桂昌院に、女性に与えられる最高位の「従一位」を朝廷から授かることでした。成功すれば出世は確実だったのです。吉保は吉良上野介にこの計画をすすめるべく協力を仰いでいた。着々と準備を進める中、あの刃傷事件が起きてしまったのです。「こんないざこざは朝廷の耳には入れたくない。今後の桂一計画に悪影響があるだろう・・・」。柳沢吉保は内匠頭切腹後、忍びの黒鍬組を大石のいる赤穂へ派遣させ状況を観察、そして討入りまでの動向を探っていくのです。

名もなきラストサムライが名を轟かせた瞬間

刃傷事件から1年9ヶ月後、「此間の遺恨」の謎を解いた大石内蔵助は討入りを決行します。赤穂浪士47名が誰1人死なないようにと防具に力を入れ、また同士討ちをしないように着物を揃えるなど今ではおなじみの白黒の着物で登場します。そして、糞尿の汲取り屋に変装した侍が吉良邸の全貌を明らかにする等、数々の作戦を遂行し討入りが決行されるのです。
その後討入りは成功し内匠頭の敵をとった赤穂浪士たちは、それぞれのお預け先の大名家で切腹をとげます。そして、主君浅野内匠頭が眠る泉岳寺に葬られるのです。大石内蔵助が駆け抜けた江戸時代。改易になったお家は、248にものぼった中でただひとつ赤穂浪士だけが、武士としての忠義をまっとうしたのです。当時の庶民は拍手喝采を送り、そして300年経った今もなお私たちの心の琴線を揺さぶっているのです。



忠臣蔵といえば、日本人だれもが愛する物語。

まさしく今年の四月、新橋演舞場にて花形歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」を観劇してきた私。

数か月たった今でもあの感動はありありとよみがえってきます。

四段目・判官切腹の場。判官とはすなわち浅野内匠頭のことです。

死装束になった塩冶判官。大星由良之助(大石のことです)を待ち兼ね、「まだ、来ぬか」と声を絞り出します。駆け付けた大星との瀕死の対面がまた、見ていてつらい…。
もうちょっと待って、頑張って、いや、そもそも死んではいけない!と心の中で観客全員が叫んでいます。悲しい結末を知っているのに…。

しかし、そんな悲壮感だけではない、洗練された美しさと匂いたつような品が舞台上にただよっていました。判官役は尾上菊之助さんでしたが、当時の新聞が「かくも美しい判官がいたろうか」と大絶賛していたのを覚えています。

演じる役者さんによって、またその公演ごとに、その日ごとに印象がガラリとかわる「忠臣蔵」。

結末も知っているのに思わず手に汗握ってしまう「忠臣蔵」。

今回の放送でまたあらためて観たくなってしまいました。