THEナンバー2

毎週木曜よる10時オンエア

綺羅星の如く、日本史を彩る名将たち。 私たちがよく知る歴史の表舞台、 その陰には常に「ナンバー2」の存在がありました。いわばそれはもうひとつの「歴史物語」。

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堀田正睦

ゲスト: 井沢元彦

「開かなければ、食べてはいけない国。」
幕末の日本という国をそう言い表したのは、アメリカが開国を迫った時の老中首座・堀田正睦です。開国に誰よりも尽力したにも関わらず、歴史の陰に埋もれ、その業績に光が当たることがなかった幕府のナンバー2・堀田正睦。
日本の行く末を案じ、日米修好通商条約締結に奔走する堀田の前に、次々と障壁が現れることとなるのです。

宿敵 エリート老中・阿部正弘

開国を迫るペリーに相対した時の将軍は、「うつけ者」と呼ばれていた徳川家定でした。その家定を支える宰相・阿部正弘は、25歳という若さで老中に登用された超エリート。しかし阿部は、強引に開国を迫るペリーに強要されしぶしぶ和親条約を締結します。その上、イギリス、ロシアとも同じく条約を調印させられていました。そこで阿部は、自分への批判をかわす「風よけ」として、老中経験のある堀田正睦を老中首座に迎えたのです。しかし、堀田は阿部の思い通りには動きません。日本の行く末を誰よりも案じていた堀田は、海外の見識も深い当時は珍しい開国論者でした。日本の未来をかけ、攘夷鎖国派でエリート老中・阿部と、激しいつばぜり合いを繰り広げることに。そんな阿部との確執が増す中、なんと堀田より10歳も若い阿部が突然、病を患い幕閣を去る…。こうして堀田が実質・幕府のナンバー2の座につき、思い通りに歴史を動かし始めることになったのです。

強敵・アメリカ公使 タウンゼント・ハリス。
そして最大の敵、徳川斉昭。

一刻も早く日米修好通商条約を締結したい堀田ですが、アメリカ公使・ハリスとの交渉はなかなか進みませんでした。ハリスは自国のみならず、自身の利益にも執着し、一筋縄ではいかない男…。さらに、最大の敵が立ちふさがることになります。御三家水戸の徳川斉昭公です。
条約締結には、御三家に評議は尽くしたとの形をとらねばならなりません。しかし攘夷鎖国派で、後に烈公と恐れられた斉昭が条約調印に断固反対。しかも『堀田は腹を切らせ、ハリスは首をはねろ!』と言い放ったのです。 アメリカの大鑑を背負ったハリスと、御三家の斉昭公。最大のピンチに堀田は、自ら天皇の勅許をもらいに行くという巧妙なアイデアを思いつくのですが……。しかし、何の相談もせず事を進めようとしたナンバー2・堀田正睦に腹を立てた、ナンバー1・将軍 家定の一言で、なんと堀田は条約締結を目前に宰相の座から転がり落ちてしまうのでした。 
家定の命により、堀田に代わりナンバー2の座に就いたのは井伊直弼。1858年。ついに堀田が夢にまで見た日米修好通商条約が、政敵・井伊直弼によって締結されました。そしてその翌日。なんと堀田は老中職を罷免されてしまうのです…。

「開かなければ、食べてはいけない国。」

開国に誰よりも尽力したにもかかわらず、その努力が報われなかった老中首座・堀田正睦。 しかし堀田がいたからこそ「開国」が成され、今日の日本の姿があるのではないでしょうか。


今回の放送のVTRは、文楽の人形をつかっての再現ドラマとなりました!
実は私は学生時代からの文楽ファン。大阪の国立文楽劇場までわざわざ目当ての講演を見に行ったほどなのです!

文楽の首(かしら、頭の部分です。)は、その役の年齢や身分、性格などにより多くの種類があり、それにあわせ肌の色を塗り替えたり鬘(かずら)を取り替えるのが特徴です。(※日本芸術文化振興会の説明を参考。)

ひと目その首を見ればそれが敵役なのか、正義感の強い役柄なのか、はたまた脇役なのかわかる、というわけです。

堀田正睦は眉根にどこか悩みの影をやどしている中年の男性の首。
伊勢守阿部正広は端正な顔立ちの若者、しかし意思の強さを感じさせる首。
烈公とよばれた徳川斉昭は、鬼を連想させるような真っ赤な首。

それぞれのキャラクターがひとめでわかりますね。

注目すべきは「そうせい候」「うつけ」などと揶揄されていた将軍家定。
どこか遠い目で蝶々をおいかける姿はかわいらしくもあり、少し物悲しくもあります。