AQUOS美術館 かくて名画は生まれた。

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毎週土曜日よる22:00〜22:30
毎週日曜日7:00〜7:30再放送

今から100年以上も前に描かれた一枚の絵画。
名画の放つ色彩…そしてその筆遣い。
画家が持てる情熱を全て注ぎ込んだ絵画に向き合う時、あなたはそこに何を見るであろうか?

絵画の数だけドラマがある。そして見る者の数だけ感動がある。
絵画は人生を変える。画家も、そして見る者さえも…

フェルメール Johannes Vermeer

#22 「デルフト眺望」

11月29日O.A.(30日7:00 再放送)
2月28日O.A. (3月1日再放送)
声の出演 筧利夫(フェルメール役)
テーマ音楽:宮川彬良
『デルフト眺望』

「デルフト眺望」

所蔵:マウリッツハイス美術館(オランダ・ハーグ)

風俗画家として市民の生活を描いたフェルメールだが、彼は風景画も描いている。 それが生まれ育った町を描いた「デルフトの眺望」だ。 町のほぼ南端、スヒーダム港周辺の景色を描いた、この絵は、当時の最先端科学機器だったカメラ・オブスキュラを用いて描かれたと考えられ、光の粒や、影と光のコントラストなど、光の魔術師と呼ばれたフェルメールの技法を見ることができる。 またこの絵は1654年に起きたデルフト大爆発の数年後に描かれたといわれ、フェルメールが古き良き時代のデルフトの光景を思い出しながら描いたものともいわれている。

『エマオのキリスト』

「エマオのキリスト」

所蔵:ボイマンス美術館(オランダ・ロッテルダム)

あまりに現存する作品が少ないため、まだ見ぬフェルメールの絵がどこかに埋もれているのではないか、という期待も高まっていった。
中でも、どこかに必ずある、とされていたのが初期の物語画。30数点の作品が確認されたフェルメールだが、聖書の物語を描いた宗教画は、「マルタとマリアの家のキリスト」だけ。初期のころに、この作品しか描いていないということは考えられなかったのだ。
そして、1937年。ついにそのミッシングリンクが見つかった!「エマオのキリスト」と名付けられた作品。だが、この絵にはのちに、世界中が驚く、ある秘密が隠されていたのである。



1675年、43歳の若さで他界したフェルメール。だが早すぎた天才の名は、その後、忘れられ、その作品も散り散りとなっていた。
そんなフェルメールの絵が「再発見」されるのは、驚くことに、その死から200年以上が経ってからのことだった。
現在、確認できる作品は、わずか30数点。現在では、どの作品も破格の値段となっている。最近、オークションに出品された、「ヴァージナルの前に座る若い女」についた値は、実に33億円にもなった。一体、なぜ、歴史に埋もれていた天才の絵が200年以上も経ってから、再発見され、今日のような評価を得るようになったのだろうか?
謎めいた光の画家・フェルメール。その絵画は私たちを魅了し続けるのだ。

ヨハネス・フェルメール
Johannes Vermeer (1632-1675)

17世紀にオランダ・デルフトという小さな町で生まれ育った「光の画家」。
その生涯について謎に包まれており、作品の工程日数や制作記録、デッサンなども発見されておらず、43年という短い生涯で残した作品は三十数点しか確認されていない。モチーフや構図、構成、色彩などシンプルだが、落ち着いた光の中で、日常的行為をあたかも静物のように捉え、独特の室内空間を作り出している。
また、フェルメール・ブルーと呼ばれるラピスラズリ(ウルトラマリンの原料)の「美しい青」が特徴でもある。