AQUOS美術館 かくて名画は生まれた。

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毎週土曜日よる22:00〜22:30
毎週日曜日7:00〜7:30再放送

今から100年以上も前に描かれた一枚の絵画。
名画の放つ色彩…そしてその筆遣い。
画家が持てる情熱を全て注ぎ込んだ絵画に向き合う時、あなたはそこに何を見るであろうか?

絵画の数だけドラマがある。そして見る者の数だけ感動がある。
絵画は人生を変える。画家も、そして見る者さえも…

フェルメール Johannes Vermeer

#21 「絵画芸術」

11月22日O.A.(16日7:00 再放送)
2月21日O.A. (2月22日再放送)
声の出演 筧利夫(フェルメール役)
テーマ音楽:宮川彬良
『絵画芸術』

「絵画芸術」

所蔵:ウィーン美術史美術館(オーストリア・ウィーン)

見るものに背中を向け、イーゼルの画板に向かう画家。モデルの少女は、フェルメールブルーの服に身を包み、何かを讃えるように、ラッパを手にしている。圧倒的な迫力を持ち、フェルメールの最高傑作とも言われる。
この絵はあのヒトラーもこよなく愛し、第二次大戦中、ナチスドイツによって没収され、オーストリアの岩塩抗であやうく爆破されそうになったこともある。
また、この作品をフェルメール自身も終世、手離すことがなかったという。この絵には彼の歩みが凝縮されており、まさに集大成の作品といえる。
果たして、フェルメールは、この絵にどんな思いを込めていたのだろうか?

『レースを編む女』

「レースを編む女」

所蔵:ルーヴル美術館(フランス・パリ)

縦23・9センチ、横幅10・5センチ。現存するフェルメールの中で最も小さな作品だ。
「牛乳を注ぐ女」にも通じる、仕事に集中する女性の姿。だが、この絵でフェルメールはそれまでにない試みを行っているという。
注目すべきは、糸の表現。糸というより解けだした飴の様な不思議な質感となっている。もともとフェルメールは技巧を表に出すのを嫌ったはずだが、この絵では技巧を見せつけるようになっている。一体、このころのフェルメールに何が起きていたのか?



1675年12月、オランダが生んだ世紀の天才画家は、突如として他界してしまう。その死の状況や、原因は一切不明。
ただ教会に埋葬された日付と、享年の記録が残されているだけである。それによればフェルメールは43歳、あとにはまだ成人していない10人の子供が残されていたという。
生前のフェルメールには多額の借金もあったようで、妻は葬儀の際、本来、教会に納めるべき、外套一枚分の寄付金さえ支払えなかったようです。
フェルメールの死後、そのアトリエには「絵画芸術」だけが残されていたという。

ヨハネス・フェルメール
Johannes Vermeer (1632-1675)

17世紀にオランダ・デルフトという小さな町で生まれ育った「光の画家」。
その生涯について謎に包まれており、作品の工程日数や制作記録、デッサンなども発見されておらず、43年という短い生涯で残した作品は三十数点しか確認されていない。モチーフや構図、構成、色彩などシンプルだが、落ち着いた光の中で、日常的行為をあたかも静物のように捉え、独特の室内空間を作り出している。
また、フェルメール・ブルーと呼ばれるラピスラズリ(ウルトラマリンの原料)の「美しい青」が特徴でもある。