AQUOS美術館 かくて名画は生まれた。

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毎週土曜日よる22:00〜22:30
毎週日曜日7:00〜7:30再放送

今から100年以上も前に描かれた一枚の絵画。
名画の放つ色彩…そしてその筆遣い。
画家が持てる情熱を全て注ぎ込んだ絵画に向き合う時、あなたはそこに何を見るであろうか?

絵画の数だけドラマがある。そして見る者の数だけ感動がある。
絵画は人生を変える。画家も、そして見る者さえも…

モネ Claude Monet

#17 「睡蓮」

10月25日O.A.(26日7:00 再放送)
1月24日O.A. (25日再放送)
声の出演 奥田瑛二(モネ役)
テーマ音楽:宮川彬良
『睡蓮』

「睡蓮」

所蔵:オランジュリー美術館(フランス・パリ)

モネのために開館されたオランジュリー美術館に9年の歳月をかけて描かれた「睡蓮」の連作が展示された。天井から自然光が差し込む楕円形の部屋。それはモネが人生と命を賭けて描いた絵画にふさわしい空間だった。ジベルニーの庭の夜明けから夕暮れまで刻々と変わる太陽の光。光を受けて色づく水面。その一瞬の色彩を封じ込めた巨大なカンバス。モネが人生の最後に残したもの・・・それは彼の眼で見た風景そのものを誰もが体験できる新しい作品だった。

『睡蓮 日本の橋』

「睡蓮 日本の橋」

所蔵:マルモッタン・モネ美術館(フランス・パリ)

庭の太鼓橋を描いたこの作品にはモネらしい細かい光の粒子を描いた筆遣いがみじんも感じられない。そこにあるのは、ぼやけた風景と燃えるような真っ赤な世界。モネの眼は画家として致命的とも言える白内障に冒されていたのだ。カンバスに色をのせるどころか、絵の具のチューブの文字すら読むことが出来ない。池の水面を照らす光の輝きは、もうモネの眼には映らない・・・。視力も色彩の感覚も失ったモネは苦痛と激痛を伴う手術を受ける決意をする。



最愛の妻アリスが白血病のため58歳で亡くなった。ジベルニー住み、入籍してから10年も経っていなかった。悲しみと白内障で自暴自棄になっているモネは若き日の友人であり、時のフランス首相・クレマンソーと再会し、夢と希望を取り戻した。クレマンソーはフランスを代表する偉大な芸術家・モネに画家人生の集大成となる大作を制作することを勧めた。モネはアトリエに自分の背丈より大きなキャンバスを用意し、自分が唯一見ることの出来る美しい光景を描いたのだった。

クロード・モネ
Claude Monet (1840-1926)

時間や季節の移り変わりの中で表情を変えていく、一瞬の自然の姿をありのままに捉え続けた、印象派の巨匠。ジヴェルニーに再現した日本式庭園や浮世絵など、東洋文化にも造詣が深く、モネの中にある日本のイメージが作品に与えた影響は計り知れない。光や風の一瞬の輝きをカンヴァスに閉じ込める驚くべき能力、巨大な連作で20世紀の絵画に多大な影響を与えた。