AQUOS美術館 かくて名画は生まれた。

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毎週土曜日よる22:00〜22:30
毎週日曜日7:00〜7:30再放送

今から100年以上も前に描かれた一枚の絵画。
名画の放つ色彩…そしてその筆遣い。
画家が持てる情熱を全て注ぎ込んだ絵画に向き合う時、あなたはそこに何を見るであろうか?

絵画の数だけドラマがある。そして見る者の数だけ感動がある。
絵画は人生を変える。画家も、そして見る者さえも…

モネ Claude Monet

#16 「ルーアン大聖堂」

10月18日O.A.(19日7:00 再放送)
1月17日O.A. (18日再放送)
声の出演 奥田瑛二(モネ役)
テーマ音楽:宮川彬良
『ルーアン大聖堂』

「ルーアン大聖堂 扉口 青のハーモニー」

所蔵:オルセー美術館(フランス・パリ)

石の聖堂に落ちた太陽の光が見せる、一瞬の色彩をキャンバスに写し取った「ルーアン大聖堂」。52歳になったモネはそれから4年の歳月をこの巨大な建物を照らす光の描写に捧げた。何枚も、何枚も・・・。実はこの作品こそが後にモネの名を歴史に刻む大作の予感をはらんでいた。しかし、なぜ自然をこよなく愛するモネは、新たな挑戦としてこの無味乾燥な石の教会をモチーフに選んだのだろうか?

『積みわら、夏の終わり、朝』

「積みわら、夏の終わり、朝」

所蔵:オルセー美術館(フランス・パリ)

美しい自然に囲まれたジベルニーはモネにとって理想のアトリエだった。ある日、何の変哲もない風景に心を奪われた。麦の収穫を終えた後の畑に点在する積みわら。その表面は太陽の光を受けて刻々と色を変えていく。朝、昼、そして夕方。一瞬の風景の積み重ね。これこそ光の移ろいを表現できる手法であるとモネは気がついた。さらに夏から冬へと季節によって変わる風景を描き続け、「積みわら」は連作として発表された。まるで連続写真のように光の移ろいを描いたキャンバス・・・これこそモネが追い求めていた光の輝きだった。



中世からキリスト教の布教地として栄えたフランスの古都・ルーアン。新たな絵画のモチーフを探すたびの途中でこの町に立ち寄ったモネはそびえ立つ大聖堂に目を奪われた。時刻と太陽の傾きによって刻々と表情を変える動かぬ石の壁にモネは魅了された。
夜の闇と朝の光の間の「青」
日中の陽射しを浴び輝く「金色」
夕陽を映した「桃色」
カンバスを1時間おきに取り替えても光の早さには間に合わない。モネは壮絶な忍耐力でまぶたの裏に焼きついた一瞬の光景を連作として残したのだった。

クロード・モネ
Claude Monet (1840-1926)

時間や季節の移り変わりの中で表情を変えていく、一瞬の自然の姿をありのままに捉え続けた、印象派の巨匠。ジヴェルニーに再現した日本式庭園や浮世絵など、東洋文化にも造詣が深く、モネの中にある日本のイメージが作品に与えた影響は計り知れない。光や風の一瞬の輝きをカンヴァスに閉じ込める驚くべき能力、巨大な連作で20世紀の絵画に多大な影響を与えた。