AQUOS美術館 かくて名画は生まれた。

メニューへジャンプ
毎週土曜日よる22:00〜22:30
毎週日曜日7:00〜7:30再放送

今から100年以上も前に描かれた一枚の絵画。
名画の放つ色彩…そしてその筆遣い。
画家が持てる情熱を全て注ぎ込んだ絵画に向き合う時、あなたはそこに何を見るであろうか?

絵画の数だけドラマがある。そして見る者の数だけ感動がある。
絵画は人生を変える。画家も、そして見る者さえも…

スーラ Georges Seurat

#13 「化粧をする若い女」

6月28日O.A. (6月29日7:00 再放送)
9月27日O.A. (28日再放送)
声の出演 津田寛治(スーラ役)
テーマ音楽:宮川彬良
『化粧をする若い女』

「化粧をする若い女」

所蔵:コートールド研究所(イギリス・ロンドン)

真面目で物静か、勤勉な理論家。その上秘密主義のスーラはだんだん外の世界から孤立していくようだった。しかし、スーラの心にはひとりの大切な人物がいた。「化粧する若い女」〜スーラが、その生涯でたった一度だけ、挑んだ大画面の肖像画。それは、ある種、機械的とも言える彼の作品の中において、特別な意味を持つ作品と言える。モデルとなった女性は、スーラが夜の街で出会った女性。スーラにとって、彼女との出会いは、運命的なものだった。
華やかなパリの街を一皮向いたところに現れる時代の本質は、絵画を通してのみ伝えられる。スーラは自分自身について多くを語ることのない秘密主義者だったが、その心の奥底には熱い思いが秘められていた。

エッフェル塔

「エッフェル塔」

所蔵:サンフランシスコ美術館

スーラが描いた「エッフェル塔」では、塔の先端部分がまだ完成していません。
スーラは、パリの近代化のシンボルとも言えるエッフェル塔を初めて描いた画家でもありました。彼は、日に日に空に向かって伸びていく、この塔に明るいパリの未来を見ていたのかもしれません。
ゴッホ、セザンヌ、ゴーギャン・・・
印象派の画家たちの多くは、最後にはパリを捨て、新天地を求めました。
パリを誰よりも憎みながらも捨てることなく、誰よりも愛し、描き続けたのが画家・ジョルジュ・スーラでした。


化粧をする女を描いているスーラ

化粧をする女を描いているスーラ

光と陰を生み出した、近代都市・パリ。
そんな急激に変わって行くパリに生まれ育った画家、ジョルジュ・スーラ。
パリの近代化により、一層顕著になった階級社会に対して、批判的な眼差しを向け続けた。画家として、仲間など持たずに孤独でありたいと願った彼が、時を同じくして共に暮らしたいと願った女性、マドレーヌ。
彼女はまさに、その陰の世界を生きてきた女性でした。孤独なスーラが心から愛する女性と出会ったとき・・・
かくて名画は生まれたのです。

ジョルジュ・スーラ
Georges Seurat (1859―1891)

直感的に描く印象派芸術の筆触分割の技法を光学、色彩の面から科学的に分析し、規則的な点描によって画面をつくりあげる独自の絵画技法を作った新印象派の代表的画家。作品を仕上げるまでに多数の素描や下絵を制作して、入念に構想を練り、かなりの時間を要して数々の大作を完成させた。パリのブルジョア家庭に育ち、私生活については秘密主義を貫いた。