AQUOS美術館 かくて名画は生まれた。

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毎週土曜日よる22:00〜22:30
毎週日曜日7:00〜7:30再放送

今から100年以上も前に描かれた一枚の絵画。
名画の放つ色彩…そしてその筆遣い。
画家が持てる情熱を全て注ぎ込んだ絵画に向き合う時、あなたはそこに何を見るであろうか?

絵画の数だけドラマがある。そして見る者の数だけ感動がある。
絵画は人生を変える。画家も、そして見る者さえも…

セザンヌ Paul Cézanne

#5 『果物籠のある静物』

5月3日O.A.(4日7:00 再放送)
8月2日O.A.(3日再放送)
声の出演 林 隆三(セザンヌ役)
テーマ音楽:宮川彬良
『果物籠のある静物』

「果物籠のある静物」

所蔵:オルセー美術館(フランス・パリ)

20世紀絵画の父といわれるセザンヌの代表作のひとつ、「果物籠のある静物」
果物や野菜をモチーフにした静物画を200点以上も残したセザンヌだが、この一枚の絵こそルネッサンス以来、変わることのなかった西洋絵画に革命をもたらしたものだった。
この絵がなければ、ゴッホもゴーギャンもピカソも、あれほどの作品を生み出すことはできなかったかもしれない。
一体、セザンヌの絵のどこに、それほどの力が秘められているのか。
そしてなぜ彼の絵は絵画の革命といわれるのか?

コーヒーポットのある婦人像

「コーヒーポットのある婦人像」

所蔵:オルセー美術館(フランス・パリ)

静物画に情熱をかけて取り組んだセザンヌだが肖像画を描くこともあった。しかし、彼のモデルになることは難しく、忍耐力が必要だった。モデルが疲れてポーズを崩すと「リンゴは動かないぞ!」と叱りつけた。しかも椅子に座って服にしわが出来ることを嫌って分厚い本を腰の後ろに入れて、半立ちの状態にしたまま8時間、それを120日間続けたという。そんな状況なので、彼が描いた肖像画には笑顔がない。
そのとき描いたのが、この「コーヒーポットのある婦人像」。
セザンヌは晩年まで家族か、ごく親しい友人にしかモデルを頼んでいない。人間に比べると静物画は勝手に素材を選び、思うがままに配置できることからセザンヌは静物画を好んでいたのかもしれない。


セザンヌの静物画によく登場するリンゴ。
一体なぜ、セザンヌはそれほどまでにリンゴにこだわり続けただろう?
「果物籠のある静物」に代表される、セザンヌのリンゴ。それは、まさに画家セザンヌの原点であり、20世紀絵画の父と呼ばれる理由、そして絵画革命の母だったのかもしれない。
セザンヌは語る。「リンゴでパリをあっと言わせたい。」
しかし、セザンヌはのちにリンゴでパリどころか、世界中をあっといわせたのだった。

ポール・セザンヌ
Paul Cézanne

近代絵画の父と呼ばれ、20世紀絵画の扉を開いた後期印象派を代表する孤高の画家。多角的な視点から描く絵画、内面に迫る心情性に富んだ形体・色彩の表現を実践し、従来のアプローチとは異なる、独自性に溢れた革新的な表現方法を確立。自然の中に幾何学的配置を見つけ出そうとした手法は、後の世代の画家たちに絶大な影響を残した。人間嫌いで社交下手としても有名だった。