AQUOS美術館 かくて名画は生まれた。

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毎週土曜日よる22:00〜22:30
毎週日曜日7:00〜7:30再放送

今から100年以上も前に描かれた一枚の絵画。
名画の放つ色彩…そしてその筆遣い。
画家が持てる情熱を全て注ぎ込んだ絵画に向き合う時、あなたはそこに何を見るであろうか?

絵画の数だけドラマがある。そして見る者の数だけ感動がある。
絵画は人生を変える。画家も、そして見る者さえも…

ゴッホ Vincent van Gogh

#4 『カラスの群れ飛ぶ麦畑』

4月26日O.A.(27日7:00 再放送)
7月26日O.A.(27日再放送)
声の出演 西村雅彦(ゴッホ役)
テーマ音楽:宮川彬良
『カラスの群れ飛ぶ麦畑』

「カラスの群れ飛ぶ麦畑」

所蔵:ファン・ゴッホ美術館(オランダ・アムステルダム)

波乱に満ちた空の下に限りなく広がる麦畑に悲しみと孤独表現しようとした作品。
それが、この『カラスの群れ飛ぶ麦畑』。
画家になる、そう決めた10年前のあの日から、ゴッホの人生は完全に絵画に支配されていた。
そして、その代償として・・・全てを失ったのである。ゴッホは、テオへの手紙をしたため、それを懐にしのばせると、刺すように降り注ぐ夏の日差しの中に出掛けていった。
その手には、ピストルが握られていた。それは、フィンセント・ファン・ゴッホが、愛する者たちのために、自分ができるただ一つのこと。
すなわち、死を決意した瞬間でもあった。

花咲くアーモンドの枝

「花咲くアーモンドの枝」

所蔵:クレラー・ミュラー美術館(オランダ・オッテルロー)

ヨーロッパで、春を告げる花とされるアーモンド。
3月の下旬から4月の上旬にかけて、ほのかに桃色をおびた可憐な花を枝いっぱいにつけるその姿は、日本の桜を髣髴とさせる。
このアーモンドと桜は、同じバラ科サクラ属の花。
浮世絵の中に描かれた日本の風景に強い憧れを描いていたゴッホは、南フランスの地で満開のアーモンドの花を目にし、とても感激したという。
日本の桜や梅を思わせるその枝振り。ゴッホは、カンヴァスいっぱいに様々な方向に自由に伸びるアーモンドの枝を描いた。
この作品は、弟のテオ夫妻の間に男の子が誕生した時に、そのお祝いとしてゴッホが心を込めて描いたもの。しかし、この子の誕生こそゴッホの悲劇の始まりであった。

ゴッホの墓

1890年7月29日 午前1時30分。ゴッホは、テオの腕の中で静かに息をひきとった。
37歳。絵を描き始めてやっと10年。
短くも激しく燃えた、フィンセント・ファン・ゴッホ。棺の中に眠る彼の顔は、とてもおだやかだったという。
わずか数人に見守られたゴッホの棺には、彼が大好きだったひまわりが手向けられた。
そして、その棺を取り囲むように、彼の描いた作品の数々が、掲げられた。
その生涯でたった一点の絵しか売れなかった不遇の画家の最初で最後の展覧会。力強い筆遣いと、鮮やかな色彩が、まるで光の輪のようにゴッホを包んでいた・・・。

フィンセント・ファン・ゴッホ
Vincent van Gogh

印象派の時代に活躍し、最もドラマティックな生涯を送った不世出の天才画家、フィンセント・ファン・ゴッホは、生涯で2000点を超える作品を描きながらも、たった1点の絵しか売れなかった不遇の画家。彼はなぜ「ひまわり」を描いたのか、なぜ日本に憧れていたのか、彼の人生を振り返ると数多くの絵画の謎が紐解かれていく。