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7月 ブルガリア/トラキア地方 バラの谷
  • 7月3日放送

    ヨーロッパ東部、ブルガリア。ブルガリアでは、100年以上の時を越え、伝統舞踊の「ホロ」が受け継がれてきました。

    首都ソフィアから、東へ車で3時間。トラキア地方の山々に囲まれた一帯に、「バラの谷」と呼ばれる土地があります。ここでは、淡いピンクの小ぶりなバラで、香り高く、最高級品と言われる「ダマスクローズ」が300年以上にわたり栽培されていて、世界の7割以上を生み出す世界一のローズオイルの生産地として知られています。

    「バラの谷」では、毎年6月の初め、バラの開花に合わせて「バラ祭り」が開催されます。こうした祝いの場で必ず踊られるのが、ブルガリアの伝統舞踊「ホロ」。「ホロ」は、仕事や自然の恵みなどに対し、感謝の気持ちを表現した踊りで、昔から農作物の豊作を祝うときにも踊られ、その伝統は今も受け継がれています。


  • 7月10日放送

    ブルガリアで、古くから結婚式などの祝いの場で喜びや感謝を表現する踊りとして愛されてきた「ホロ」。人々が輪になり、手を取り合うこの踊りには、自然の恵への感謝の気持ちが込められています。

    世界有数のバラの産地として知られるトラキア地方では、バラの収穫を祝って「ホロ」が踊られます。踊り子たちが身につける民族衣装には、「魔除け」の意味を込めて必ず胸に刺繍が施されており、その模様は様々。古来のモチーフを受け継ぎながら、現代の職人の手によって様々な模様にアレンジもされています。またスカートやエプロンに描かれた花やハーブの刺繍には、豊作の願いも込められています。

    豊かな自然の恵みに対する喜びと感謝は、踊りと共に衣装にも表され、未来へと受け継がれて行くのです。


  • 7月17日放送

    ブルガリアには春の訪れを祝う昔ながらの風習が残っています。ひとつは「ホロ」と呼ばれる伝統舞踊。もうひとつは、魔除けや健康を願うために独特のお面を被って踊る伝統行事の「クケリ」です。腰には大きな鈴をいくつもぶら下げ村を練り歩きます。怖いお面で悪霊をおどし、足踏みで打ち鳴らされる鈴の音で退散させるのです。「クケリ」の集団の中に小さな子どもの姿もあります。

    鈴の音を途切らせないよう、一生懸命に踊りながら村の家々をまわります。「クケリ」に魔除けをしてもらった家は、その感謝のお礼として酒やお菓子を振る舞うのが習慣です。魔除けが終わると、「クケリ」は森の中へ…。

    最後は、「クケリ」を演じた人たちが春の訪れを祝いながら、祭りの労をねぎらい、伝統舞踊「ホロ」を踊って祭りは幕を閉じるのです。


  • 7月24日放送

    バラの栽培が盛んなブルガリア中央部のトラキア地方。毎年6月の初旬に、バラの収穫を祝う「バラ祭り」が開催され、人々は手を取り合い、列や輪になって伝統舞踊の「ホロ」を踊ります。

    軽やかなリズムに乗せたステップは不規則で、3拍子、5拍子、7拍子と多様に変化していきます。かつて500年もの間オスマントルコに支配されていたブルガリアでは、楽器を使うことも許されず、当時の人々は、力強くステップを踏み、足音を楽器の代わりにしてきました。現在、人々が足を踏み鳴らすリズムが変化するのも、当時の名残と言われています。

    祭りでは、ブドウや桃、バラなどから作られるブルガリアの地酒「ラキア」のグラスを傾けて収穫を祝い、来年の豊作を願いながら人々は宴に酔いしれます。


  • 7月31日放送

    ブルガリアの伝統舞踊「ホロ」は、人々が集まる場所では、自然と輪が作られ、誰もが踊り出すフォークダンスです。110年の歴史を誇る「バラ祭り」の日には、皆、一日中その伝統の踊りを楽しみます。

    祭りの日には、家でパンを焼くのも古くから受け継がれている伝統です。ブルガリアの主食であるパンは、命の象徴とされ、大切な儀式や祭りでは必ず焼かれてきました。添えられるのは、摘み立てのバラを煮詰めて作ったジャム。バラ祭りがクライマックスを迎えると、人々は手を取り合い、幾重にも踊りの輪を作って「ホロ」を踊ります。

    バラの谷に伝わる祭り。それはブルガリアの伝統と誇りを守り、子どもたちへとつなぐ大切な場所でもあるのです。