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2015年3月14日放送

今週のドル円はもみ合い。週明け9日のアジア時間には120.61円までドルが下げる場面もあったが、その後は日経平均の買い戻しを受けて下値を切り上げる動きとなった。翌10日もドル買いの流れが続き、重要なレジスタンスとして意識されていた12月8日の高値121.86円を上抜けると122.04円までドルは買い上げられている。しかし、その後は、急ピッチで値を上げた反動や、ダウ平均の大幅下落安などから120.92円までドルは売られた。11日には株高を支えにしたドル買いに再び121.63円まで上昇。翌12日も121.67円をつけるなど底堅く推移していたが、2月米小売売上高が予想を大幅に下回る弱い数字となると、一時、120.65円まで下押ししている。ただ、ダウ平均が買い戻されると121円台半ばまで再び値を上げるなど、一進一退の動きとなっている。

ドル高が強く意識されている。きっかけとなったのは、6日に発表された2月米雇用統計で、非農業部門雇用者数が市場予想の23.5万人を上回る29.5万人となったほか、失業率も5.5%にまで改善した。これを受けて、10日にドルは122.04円まで買い上げられている。「来週17-18日のFOMCでフォワードガイダンスが変更され、6月ないし7月のFOMCで利上げが決定される」とのシナリオを市場は織り込み始めた。

そして今週、ユーロドルが激しい動きを見せた。週初より、ECBの量的緩和政策として国債の購入が開始され、ユーロ圏の国債利回りが軒並み最低を記録している。11日の欧州市場では、独10年債利回りが0.192%まで低下した。こうした動きを受けて、投資家は、ユーロ圏内での投資を回避し、ユーロ圏外に資金をシフトする動きを見せている。これがユーロの下落を加速させている。

また、ユーロドル相場のチャートを見ると、2015年に入って、2010年6月の直近安値1.1876ドルを下抜けし、2005年11月の安値である1.1640ドルをも突き抜けたため、今は、チャートポイントらしきものがなくなってしまった。チャートだけをみれば1.0000ドルという、いわゆるパリティを下抜ける動きまでもが視野に入ってきている。

ユーロを取り巻く環境の問題点は、ユーロ圏がデフレ状態に陥っていることである。最近の消費者物価指数もマイナスが続いていて、ECBは量的緩和の手綱を緩めることができない。ギリシャの問題とウクライナの混乱もユーロへの信頼を低下させている。

来週のドル円は引き続き底堅い動きとなりそうだ。17-18日開催予定のFOMCでは、声明文から「patient(辛抱強く)」のガイダンスが変更されるとの見方が大勢となっているが、今後の金融政策に対する手掛かりが得られるかを見極めたい。また、主要国の株高は、引き続きドルの支援材料になりそうだ。チャート的には、一目均衡表転換線の120.70円や9日の安値120.615円が下値の目処となっているほか、6日の米雇用統計直前につけた安値の119.90円がサポートレベルとして意識されている。上値では、10日の高値122.04円が目先の目処として意識されているが、2007年6月22日の高値124.14円や2002年12月5日の高値125.73円も視野に入ってきている。

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