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2014年12月6日放送

今週、ドル円相場は、7年4か月振りに1ドル=120円台に乗せた。まず、12月相場入りした1日に、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが日本国債の格下げを発表。その直後こそ市場はドル買い円売りで反応し、119.15円までドル高円安が進んだが、その後は日経平均先物の下落を受けて117.86円までドルは売られた。しかし、翌日には株が買い戻され、更にWTI原油先物が下落するにつれてドル買いが優勢となり、3日には衆議院選挙で自民党が優勢との情勢が伝えられるとドル買い(円売り)が加速。4日の海外市場で1ドル=120円を突破し、一時、120.25円を付けている。

今週1日、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが、日本国債の格付けを「Aa3」から「A1」へと一段階引き下げた。見通しは「安定的」だが、「A1」という格付けは、先進7か国の中でイタリアに次いで下から2番目。近隣の中国・韓国・台湾よりも下というレベルだ。

格下げは通常「売り」を誘う。今回も、発表直後は円売りが強まった。しかし、その後は、日経平均先物が値を下げると株安に連動して円買いが強まり、1ドル=117.86円までドル安円高が進む展開に。ただ、この水準では、11月28日の安値117.74円が目処として意識されたほか、本邦実需勢のドル買いなどから118円台半ばまで値を戻している。そして、格下げをきっかけとした相場の乱高下は、実はここまでだった。格下げの翌日以降、東京の債券市場に混乱は見られず、日経平均株価も年初来高値の更新を続けた。そして、ドル円相場は、株高と連動するように再び円安基調と強めている。結局、今回の国債格下げは、一時的なポジション調整のきっかけに使われ、消化されたようだ。それほどに市場の需給関係に偏りがある、とも言える。

また、WTI原油先物の下落傾向は依然として続いている。資源国通貨であるカナダドルや豪ドルなどを売る動きが強まり、同時にそれは、全般的なドル高にも繋がっている。

来週のドル円相場は、引き続き底堅い動きとなりそうだ。総選挙を週末に控え、選挙情勢に左右されそうだが、引き続き本邦長期資金や本邦輸入勢などのドル買い意欲は強い。また、日経平均が、ダウ平均を絶対値で上抜ける状態が続くようであれば、心理的にもリスクオン相場をトライしやすくなるだろう。ドルの上値では、2007年6月22日の高値124.14円が視野に入ってくる。一方、ドルの下値では、3日の安値119.13円が目先の目処として意識されているほか、一目均衡表転換線の118.74円や2日の安値118.23円がサポートレベルとなっている。ムーディーズが日本国債を格下げした際のドルの安値117.86円もポイントだ。

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