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2013年11月2日放送

外国為替市場では、29日の海外市場からドル高円安が進行。30日にはFOMCの声明文を受けて一時98円69銭までドルが買い上げられた。市場参加者からは「声明文の中身が思ったほどハト派ではなかった」との声が多く、「来年3月まで量的緩和の縮小(テーパリング)が先延ばしされる」との期待が強まっていた市場に、冷や水を浴びせた形となった。

30日に発表されたFOMCの声明文では、「量的緩和の縮小時期」についての見解は、9月18日の声明文と一言一句変更なし。さらに米政府機関の一部閉鎖や財政問題が景気に与える影響等については、何も言及がなかったため、市場は予想以上に冷静なバーナンキ議長の態度を確認する結果となった。

著名なFEDウォッチャーも「12月の量的緩和縮小の可能性がなくなった訳ではない」とのコメントを寄せているほか、FTも翌日の一面トップで「1月までの資産買取りの減額も可能」との見解を示した。

米政府機関の一部閉鎖や米財政協議の期限ぎりぎりまで続いたチキンレースと、今後の米議会での協議の行方への懸念。さらに10月22日に発表された9月の雇用統計の悪化を受けて、市場では「緩和縮小の開始は、イエレンFRB議長が誕生する来年3月のFOMCに先延ばしされる」との認識が広がっていた。

しかし、実質的には何も変わっていない今回の声明文を受けて、「バーナンキ議長の在任中の12月や1月の可能性もある」との見方が急速に台頭している。

もともと退任までに「金融政策の正常化への道筋を立てておきたい」との願いを強く持っているバーナンキ議長だけに、在任中の金融政策は予断を許さない。一方で、3月に就任するイエレン新議長の下での政策変更の方が自然だと考える向きも、依然として少なくない。

今後の米経済指標次第ではあるものの、市場は当面「バーナンキか?イエレンか?」という命題に悩まされることになりそうだ。

来週は米国の7-9月期GDP速報値や10月の雇用統計の発表を控えているほか、8日にはバーナンキFRB議長の講演が予定されており、量的緩和の縮小時期についての言及には注意が必要。

ドル円は当面、97円台から99円台で推移する可能性が強いものの、経済指標やバーナンキ議長の発言内容次第では、円安ドル高に振れることも想定しておいた方がいい。

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