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2007年9月22日 放送

9月18日に開催されたFOMCで政策金利の0.5%引き下げが決定された。9月に入ってから金融市場が徐々に落ち着きを見せていたために、今回は0.25%の利下げに留まるのではないかという見方が多く聞かれたが、予想に反して大幅な利下げに踏み切った。

声明文の中身を見ると、住宅調整が深刻化し景気がスローダウンする可能性に言及するなど、それまでの景気見通しを大きく修正する内容となっている。

FOMCでの大幅な利下げは金融市場の混乱を沈静化するのに大きな効果をもたらした。信用不安の広がりで、短期金利が急上昇していたが、FOMCの利下げで市場に安心感が広がり、金利も急低下した。

ロンドンの銀行間市場レート1ヶ月物と見ると、一時5.8%を上回る水準にまで上昇していたが、一気に5.1%にまで急低下しているのがわかる。

また、株式市場も金利の引き下げを好感し、株価が上昇してきている。NYダウ平均株価の動向を見ると、利下げ後には13800ドル台にまで回復し、7月から8月にかけて下落をした以前の水準に徐々に近づいてきている。

また、今週発表されたリーマンブラザーズや、ゴールドマンサックスなど米大手金融機関の決算が思ったほど悪化していなかったことも株価には好材料となった。

利下げにより金融市場は一旦落ち着きを見せたものの、問題がすべて解決したわけではない。今週発表された米住宅着工件数8月分は年率換算で133万戸に留まり、住宅市場の低迷が続いていることを鮮明にした。

一方、原油価格が高騰を続けており、21日にはWTI原油価格が84ドルに達した。原油価格の高騰は米国の消費を低下させると同時にインフレ懸念をもたらす。今後、米国経済は低成長とインフレという難しい環境に突入していくかもしれない。

今週、市場が落ち着いてきたことで、株安→円高の流れが止まり、再び徐々に円安傾向になってきている。しかし、米国経済の低迷、金利の低下によるドル安圧力がかかるため、ドル円は方向感のない揉み合いに入っていく可能性もでてきた。

一方、堅調な経済を背景にユーロは堅調に推移しており、この傾向は当面続くかもしれない。

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