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2007年7月28日 放送

サブプライムローンとは、低所得者、或いは信用力の低い人向けの住宅ローンのことである。こうしたローンは通常のローンに比べて2%程度ほど金利が高い。更に2004年から米国の金利が上昇してきたことで、2006年頃から新規の住宅ローンの借り入れ金利がかなり高くなってきた。また、住宅価格も上昇したため借り入れ金額も増加し、金利の上昇と元本金額の増加により返済額が大きくなった。そのため、2006年からローンの延滞率が急上昇してきている。

ローンの延滞率が上昇したことで、ローンの貸し手である住宅金融会社の経営環境が悪化。また、それに伴いローンの審査基準が厳しくなったことで、住宅市場が低迷することになり、実態経済へのマイナスの影響が出てきている。更に問題は、こうしたサブプライムローンを担保とした証券を各国の投資家が大量に購入したことによって、大きな損失を被ったことにある。7月上旬に米大手格付け会社がこうしたサブプライムローン担保証券の格付けを引き下げたことで、投資家の損失が更に拡大し、その影響が金融市場に混乱を招くことになった。

サブプライムローン担保証券への投資によって投資家の損失が広がったことで、市場の不安感が広がり、投資のリスクを軽減しようとする動きが一気に出てきている。そのため、米国株式は急落、日経株式も同様に急落している。

為替市場では、それまで日本の低金利を背景に円売りを続けてきた投資家の円買いが殺到し、急激な円高が進行している。ドル円も大手格付け会社がサブプライムローンの格付けを引き下げた7月10日を境にドル安円高の方向に動き始め、7月27日の早朝には118円近辺にまでドル安円高が進行することとなった。

サブプライムローンの問題はどの程度深刻であるのか実態が把握できないことが、投資家の不安心理を煽っている。そのため、来週も値動きの荒い展開が続くであろう。しかし、先週後半の大幅な円安によって、市場の円売りポジションもかなり整理された可能性が高く、投資家のリスク軽減による円高がここから更に加速するという可能性がそれほど大きくはないかもしれない。

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