2007年 2月17日の放送


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今週15日、日本のGDP06年10-12月期の速報値が発表された。
事前の予想は前期比年率で+3.8%と非常に高いものとなっていたが、結果は+4.8%と更に高い結果となっている。今回の結果は、7-9月期のGDPが弱かったことへの反動という面もあるのは確かだが、市場予想を大きく上回っているという結果は日銀にとって利上げへの追い風となる。前回の会合では3名の利上げ支持者がおり、今回のGDPの結果であと1名が利上げを支持すれば福井総裁は支持に回り、利上げが実施されることになる。エコノミストの中でも21日の利上げに対しては依然意見が分かれているものの、状況から考えるとかなり確率が高まったと見ておきたい。


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GDPの発表を受けて為替市場でも円高が進行している。最近のケースではGDPの数字に為替相場が大きく反応するケースはあまりなかったが、今回、GDPは日銀の利上げに大きな影響を与えると言われていたために、為替市場の反応も大きなものとなっている。

今年は、日本の金利低位推移が続くとの観測からドル高円安が進行、ドル円も一時122円台まで上昇していた。しかし、今回の結果を受け、ドル円も金曜日の朝の時点で119円台前半にまで下落し、年初のレベルに戻ってきている。

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   一方、株式市場のほうは日本経済全体の状況が改善しているのに加えて、企業の業績も好調であるために順調に上昇してきている。今週は18,000円に近づく局面も見られ、6年ぶりの高値圏にまで回復してきた。利上げによる円高というマイナスは若干あるものの、各企業の財務体質が非常に健全であるために、利上げによるマイナスも軽微で、むしろ景気拡大のほうに注目が集まり株価は今後も堅調に推移することが予想される。

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来週20-21日に実施される日銀の金融政策会合での利上げ実施の可能性がかなり高まってきたが、仮に利上げがなされたとしても、その後は金利がかなり長い期間据え置かれると考えられる。
今回利上げする場合、インフレを事前に予防するための措置との説明は可能であろう。しかし、次回以降の利上げには明確なインフレ傾向を示すデータが必要となってくる。しかしながら、消費者物価指数は今後も当面上昇しないとの見方が大半であり、今後の追加利上げの可能性はかなり低いといわざるを得ない。

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 来週の為替相場は日銀の金融政策の結果に大きく左右される。市場関係者の中で十分なコンセンサスのできない状態で会合に臨んだ場合、利上げを実施すれば円高、据置きなら円安という素直な反応になると考えられる。21日の結果を見るまでは、方向感のない神経質な動きとなるであろう。今回の会合が終われば、G7、日銀の利上げという2大テーマをこなしたこととなり、その後の方向も徐々にはっきりしてくるであろう。