2007年 1月20日の放送


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 今週18日、日銀は金融政策決定会合において政策金利の据置きを決定した。今回は審議委員のうち3名が利上げを主張し票が割れたが、総裁・副総裁全員が据置き側に回ったため、利上げが見送られることになった。政策会合終了後の福井総裁の会見の中では、国内の消費動向が弱いということを認めており、この点が最終的に利上げ見送りの大きな要因となったようだ。来月20-21日に行われる次回の会合に向けて、今後発表される経済指標が重要になってくるが、特に注目されるのは26日に発表される全国消費者物価指数12月分と、2月中旬発表予定の06年10-12月期のGDPであろう。


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 元々、日銀はインフレ動向を確認しながら、今後の金融政策を変更していくという説明をしていた。しかし、消費者物価指数は昨年の夏以降年率で0%をやや上回ったレベルで低迷しており、インフレ基調が継続していると言うには数字的な根拠がかなり弱いと言わざるを得ない。国内消費が大きく伸びてくれば、インフレ率も上昇してくるものと予想できるため、インフレの状況に加え、消費動向にも注目が集まってくる。その意味においてGDPにおける消費動向が重要になってくる。

  7月に参議院選挙を控えていることから、たとえ1月に利上げの実施があったとしても0.5%という依然超低位の金利水準が続くことに変わりはなく、「低金利→円安」のシナリオが再浮上してきている。

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今回の日銀の利上げ見送りを受けて、外為市場では円安が加速している。18日の東京外為市場ではドル円相場が1年1ヶ月ぶりとなる121円台をつけている。年初からのメディア報道などにより利上げ期待が高まっていた中での金利の据置きに市場のショックも大きく、特に外国人投資家を中心とした円売りが円安に拍車をかけている。

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 今回は利上げに対する市場の期待感が大きかったために、日銀に対する失望の声も市場関係者からは多く聞こえてくる。来月の利上げの可能性に関しても疑問視する向きもあり、仮に来月利上げが実施されたとしても、それ以降選挙の影響などにより、今後の金融政策の変更がかなり後ずれするであろうというムードが市場関係者の中に広がっている。年内に利上げが継続的に行われないとすれば、円金利の低位推移を材料に更に円安が進行する可能性は高くなってくる。

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 日銀による金利据置きに対する失望感が大きいため、来週も今回の決定の影響が外為市場の中に残ると予想される。TS指数を見ても、市場関係者も円安継続と見ている。また、輸入業者・国内外機関投資家などの中にはドル買いの手当てに出遅れてしまったところもかなりあるようであり、円高局面では、確実にドル買い円売りをしてくるものと予想される。最近は市場が安定しているため、スピードは緩やかになるであろうが、円安の流れは当面継続すると予想される。