2002年 10月19日の放送

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 竹中チームを主軸とした日本の金融改革の行方が多くの議論を呼んでいるが、今回は日銀から発表されたレポート「韓国における金融改革について~どのように迅速な不良債権処理と金融機関再編を断行したか」を紹介しながら、韓国の金融改革手法を考える。

 韓国で金融不安が起きたのは1997年で、当時は日本でも山一證券や北海道拓殖銀行が倒れ、金融危機の様相を強めた時期でもあった。レポートによると韓国が実施した金融改革は三つあり、その第一が多額の公的資本投入。投入額はGDPの30%にも及び、これは日本のケースに当てはめると150兆円もの規模に達する。しかも銀行だけでなく、ノンバンク・生保・投資信託会社など銀行以外のセクターにも支援を広げた点に特徴がある。

 銀行の場合、具体的には資本注入・不良債権買い取り・預金保護などで対応した。銀行普通株を取得する代わりに数値目標を設定し、目標未達の場合は経営陣の責任を問う仕組みとした。不良債権は不健全銀行だけでなく健全銀行からも買い取りを実施(ただし簿価の4割程度の価格)、競売などのほか、資産流動化や企業再生会社などへの売却で処理した。預金は2000年末まで全ての金融機関の預金を保護することとした。

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 金融改革の第二が、外資の積極活用(日本では反発が強いが)。1998年に銀行法を改正、外国人投資家については4%を超える投資を容認した。また「整理解雇制」を導入、人員削減も容易にできるようにしたことも外資流入の呼び水となった。このため銀行に対する外人持ち株比率は急上昇し、上の3行のほかにも新韓銀行(外人持ち株比率50.8%)、ハナ銀行(同51.6%)、外換銀行(同26.9%)など外資に支えられている銀行は多い。

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 金融改革の第三が、リストラ。日本でもおなじみの“過剰債務”の整理、財閥間の事業交換(ビッグ・ディール)による業務整理、連結財務諸表の作成などによる経営の透明度の引上げ、社外取締役の選任などが実施された。

 これらの改革を実施した結果、銀行の不良債権比率は13.6%から3.3%へ大幅に低下する一方、自己資本比率は上昇した。また2001年には5期ぶりに収益を計上している。銀行のリストラも進み、商業銀行の従業員数は4割減少し、26行あった数も12行2グループに大幅縮小した。

 日銀のレポートは結びに、日本と韓国とでは単純比較はできないとしながらも、「少なくとも、改革は全体的なビジョンを持って、包括的に実行することが重要」と述べている。

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 その後、韓国の経済は大幅に改善した。上は韓国GDPと銀行貸出額の推移。98年のGDPは前年比でマイナス成長が続いたものの、翌年からはプラスに転じ、以後堅調に推移している。直近の今年第2四半期はプラス6.3%と過去7四半期で最高の成長率を記録、韓国の中央銀行は2002年通年でも6%程度の成長率を実現すると予測している。また銀行貸出も上のグラフにあるように99年以降は順調に伸びている。97年末の364兆ウォンから98年は一時300兆ウォン割れまで減少したものの、その後は増加傾向をたどり、今年3月末には404兆ウォンに達している。

 世界的な株価下落に見舞われるなか、韓国経済の今後は予断を許さない面もあろう。が、これらの金融改革を大いなる勇気を持って断行したことが、今日の韓国経済を支えているということが言えるかもしれない。

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 11日(金)の海外市場は、123円台後半から124円に欠けての動きが中心。米ミシガン大消費者信頼感指数が市場の予想を下回ったため一時ドル売りが優勢となったが、その後は日本経済の先行き不安を材料にドルは反発、結局124円05銭での引けとなった。14日(月)は、東京市場・ニューヨーク市場が休場のため、124円近辺での静かな取引が続いた。15日(火)の東京市場は124円37銭で取引開始、その後は124円台でのもみ合いが続いた。海外では好調な米企業決算を好感して米株式市場が上伸、ドルは一時125円近くまで上昇した。その後は利益確定のドル売りなどが出て、124円65銭で引けた。
 16日(水)の東京市場は125円近辺でオープン、しかしその後は実需のドル売りなどを受け、124円近辺までドルは下落した。しかし海外でドルは下げ渋り、結局124円台半ばでの引けとなった。17日(木)の東京市場は124円台半ばで寄り付き後、黒田財務官の「現状は行き過ぎた円高が是正されている」との発言に一時124円81銭までドルは上昇したが、その後は輸出企業のドル売りなどで124円台前半に軟化した。海外では、米住宅着工件数が大幅増加したことなどを好感しドルは上伸、125円台に乗せて引けた。18日(金)の東京市場は、125円台前半でのもみ合いが続いている。

 予想以上にドル堅調の展開となっている。このところニューヨーク株式が上昇基調を強めていることに加え、米経済でもクリティカルな部分である住宅関連指標が堅調に推移していることが大きい。また、日本の財務省筋からも円安を後押しする発言が相次いで出されており、ドル買い安心感が出ているようだ。一段のドル高局面では、実需やオプション絡みのドル売りも出てくると思われ、目先は上記レンジ内での一進一退が続こう。  G-SECドル円指数の速報は45.0で、若干ドル安予想が多い。ドルが125円近辺まで上昇したことで、警戒感も出ているようだ。