2002年 4月 6日放送 マーケット・ナビのポイント

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  市場が最も注目する経済指標のひとつである、日銀短観が1日発表された。調査対象企業は8651社(今回の回答率は96.8%)に上る大掛かりなもので、今回発表されたのは3月調査のもの。企業は、大企業・中堅企業・中小企業に3分類され、さらにそれぞれ製造業と非製造業に分かれる。一般に注目される大企業製造業の景況判断は、マイナス38となり、昨年12月調査比横ばいとなった。先行き見通しはマイナス27で、若干の改善を見込んでいる。

  上の表は、中小企業(規模区分で、原則50人~299人の企業)のうち、製造業についての各種判断を見たもの。 中小企業区分は、製造業全体の51%を占める。在庫判断は3月の31から先行きは22へ減少しており、過剰感が薄らぐ見込みだが、その他の判断は先行き大きな改善は見込まれておらず、全体としては、依然厳しい環境が続いていると言えよう。最近の円安・株高で、もう少し改善された数字を期待する向きもあったが、今のところはあまり好影響が見られていない。

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  同じ中小製造業について、価格判断の推移を見たのが上のグラフ。デフレを反映して、販売価格判断はマイナス43となり、前回(12月)比横ばいとなっている。先行き予想もマイナス43のまま据置となっており、底ばい状況が続いている。マイナス43は、1974年の調査開始以来最低水準。過去に同レベルをつけたのは、円高不況と言われた86年である。

  一方、仕入価格の方はマイナス5である。水準自体は過去の傾向から見て、とりわけ低いという訳でもなく、また、今回は前回のマイナス9から上昇している。特に上昇幅の大きい業種は紙・パルプ(12月マイナス29⇒3月プラス10)、化学(同マイナス10⇒同マイナス5)、石油・石炭製品(マイナス15⇒マイナス4)、鉄鋼(マイナス11⇒マイナス1)などのセクターとなっている。

 デフレ下で販売価格が低迷を続ける一方、仕入価格の上昇傾向が一段と強まることは、企業収益の圧迫要因として働くことが懸念される。

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  仕入価格の上昇に影響を及ぼしていると考えられる要因のひとつが、最近の原油価格動向である。上のグラフは、原油価格の代用的な指標であるWTI(米ウェスト・テキサス・インターメディエイト)原油のスポット価格推移。 90年に40ドルレベルまで急騰しているのは、湾岸戦争の影響によるものだ。この17年間、原油はおおむね10ドルから30ドル(1バレル当たり)の間で推移してきたことがわかる。現在は26ドル近辺で推移しており、98年11月に11ドル台まで下落した後、反転してきている。

  中東情勢ではイスラエル・パレスチナ問題の他に、米国によるイラク攻撃の可能性も残されており、当面は先行き不透明な状況が続くことが予想される。そのため、原油価格もボラタイルな動きが続きそうだ。

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  中東情勢が不安定になって、一番打撃を被るのは欧州である。上のグラフは欧州委員会が3日に発表した、3月のユーロ圏景況感指数。季節調整済みで99.5となり、2月の99.3から改善した。昨年11月に98.6まで落ち込んだ指数も、その後は徐々に回復し4ヶ月連続の上昇を続けている。基本的には、欧州の金融当局も先行き楽観的な姿勢を崩していない。

  しかし、このまま原油価格が高止まりしたり、万一米国によるイラク攻撃などが起きると、今後の景気回復シナリオに大きな狂いが生じてくる。原油を含む物価の下落→消費者の購買力上昇→景気回復、というのが当局者の期待するシナリオだからだ。しかし2日に発表された3月のユーロ圏消費者物価指数は、前年同月比でプラス2.5%となり、ECBの目標値(2%)を上回った状態が続いている。ECBは今後低下に向かうとしているが、先行きは依然不透明だ。

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  上25日(月)は132円台後半でオープン、期末最終週を迎え、実需筋を中心にドル買いの目立つ展開となった。海外に入ると、米経済の景気回復により日本からの投資が活発化するとの思惑からドルは続伸、133円台半ばでの引けとなった。

  1日(月)は133円前半でオープン、発表された日銀短観が予想より若干悪かったことで、ドルはいったん上伸したものの、輸出筋のドル売りに132円87銭まで下落。その後邦銀筋のドル買いに、再度133円前半まで上伸する展開となった。海外でも、米系投機筋等などがドル買いを活発化し、一時133円84銭をつけた。その後は利益確定のドル売りや、対欧州通貨でのドル売りの動きに、133円40銭レベルでの引けとなった。2日(火)の東京市場は133円20銭でオープン、本邦輸出筋のドル売りにいったんは132円84銭までドルは下落したものの、その後は投機筋のドル買いに再び133円台に乗せる展開となった。海外でも、いったん133円62銭までドルは買われたが、その後は円買い戻しの動き強まり、133円35銭近辺での引けとなった。3日(水)は133円20銭近辺で寄り付き後小動きが続いたが、ユーロ円で円高が進んだことから、対ドルでも円は連れ高となり、132円70銭近辺までドルは下落。海外では、日銀の元理事が「140円台の円安水準が望ましい」と述べたことから、一時133円07銭までドルは上昇したものの、その後はドル売り優勢となり、132円70-80銭レベルでの引けとなった。4日(木)は一部米系金融機関のドル買いに133円14銭まで上昇。しかしその後は輸出企業からのドル売りなどが出て、132円半ばまでドルは下落する展開となった。海外ではファンドのドル売りや、米失業保険申請件数が予想を大幅に上回ったことで、ドルは下落、いったん131円59銭までドルは下落した。しかしその後、ブッシュ大統領がパウエル国務長官を中東に派遣することを明らかにしたため、ドルは132円前半まで急反発する荒れた展開となった。5日(金)の東京市場は、132円台前半でのもみ合いとなっている。  今週はレンジ内の動きに終始したが、もうしばらくは130-135円の範囲で動きにとどまりそうだ。国内株式や国債の動きは落ち着いており、ペイオフ解禁後も特に目立った異変は起きていない。ドルが買われる局面では、実需のドル売りが活発に出ており、目先大きな動きは見込みにくい。

  G-SECドル円指数(5日、速報値)は60(前回確定値比プラス2.1ポイント)となっている。引き続き中期的な円安を見込む向きが多い。