榊原・嶌のグローバルナビ


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第461回 2009年11月28日 放送

日本の国土の3分の2、およそ2500万ヘクタールを占めている森林。そのうちの4割が戦後になって植林されたスギやヒノキなどの人工林です。人工林は現在、樹齢40年前後を数え、収穫のときを迎えていますが、その多くは間伐などの手入れがされないまま放置されています。その結果、倒木や土砂崩れなど深刻な被害まで出しているのです。

そうした中、「荒廃する森を蘇らせよう、豊かな資源として活用しよう」と、積極的に動き出している森林組合が京都にあります。日吉町森林組合です。彼らは「森林プラン」と名付けた森林所有者向けの提案書を作成。そこに木の本数、樹齢、間伐量など詳細データを記載し、さらに間伐費用、補助金、売上予想など収支も明示しています。透明性の高い見積もりで森林所有者の間伐への意識を高めているのです。そして、もう一つ大切なことは「集約化」です。所有者からの委託を受けて間伐を行う際に、近くの森林の作業を一つにまとめることがポイント。一度に作業ができるエリアが広がるほど効率的になり、コスト削減につながるからです。また、機械化の推進と作業道の積極的な開設も重要です。間伐、造材、集積までを一台でこなすハーベスタと呼ばれる高性能林業機械は林業の生産性を飛躍的にアップさせます。ただ、その機械を使うためには作業道を開設することが必要で、日吉町の山林には全長161キロもの作業道が網の目のように作られています。

今、ちゃんと手入れすれば、森林は豊かな資源になる。しかし、手入れをしなければ資源として活かせないだけでなく自然環境を壊してしまう。日吉町森林組合の湯浅理事兼参事は「ピンチとチャンスが同時にやってきた」と訴え、自らが実践する林業のビジネスモデルを全国に広げようとしています。「日本の森林は宝の山」。日本の森林の改革が、日吉の森から始まろうとしています。

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