榊原・嶌のグローバルナビ


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第422回 2009年2月28日 放送

船舶用プロペラの市場シェアで国内70%、世界で30%を占める企業が岡山県にあります。世界で唯一の総合プロペラメーカー、ナカシマプロペラです。

創業は1926年。昭和の造船不況を何度も乗り越えながら、これまでに大型タンカーから競艇のボート用まで100万個以上のプロペラを作ってきました。「100種類の船があれば100通りのプロペラがある」と中島社長が話すように、船の種類や性能、航海する海など細かいデータに合わせて「最適」なプロペラを作る「一品受注生産」を行っています。

そんなナカシマプロペラの一番の強みは、プロペラの美しい曲面を作り出すと同時に100分の1ミリという単位で翼の表面を加工できることです。プロペラの複雑な3次元曲面は最先端の機械で高精度に削ります。そして、最終的に仕上げるのは人の手。機械に置き換えられない職人の研磨がプロペラの性能を決定するのです。それは、例えば、海中での騒音の抑制であったり、耐久性の向上であったりします。この道40年の職人が磨き上げたプロペラはまさに芸術品の輝き。まさに最先端技術と匠の技が一緒になって世界一のプロペラづくりを支えているのです。

更に、ナカシマプロペラは、この美しく且つ高精度の曲面を作る技術を、人工関節の製造という新事業にも応用しています。高齢化の進行で市場は拡大基調ですが、現在日本で使われている人工関節の9割近くが輸入品。外資が圧倒的に強い市場で、ナカシマプロペラは日本人の骨格・生活様式に合った人工関節作りで勝負に出ています。中島社長は「現在2%のシェアを10年以内に10%にしたい」と意気込んでいます。

2年前にはベトナムにも進出。不況の今も工場はフル稼働が続いているナカシマプロペラ。今日も世界の海でナカシマプロペラのプロペラは回っています。

「中国の台頭でものづくりの国際競争力が求められているが、汎用品は中国に任せて、うちは一品受注生産で付加価値のあるものを作っていきたい」

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